2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原因子分泌機構の新奇二成分制御系とECFシグマ因子による二重制御
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22659332
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
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Keywords | 歯学 / 細菌 / プロテアーゼ / 膜輸送 |
Research Abstract |
歯周病原性細菌P.gingivalisの病原因子分泌にかかわる12個のタンパク質を同定し、これらのうちの2つ(PorXとPorY)は二成分制御系システム(TCSTS)のタンパク質であることが示唆された。PorXとPorYの欠損変異株では、定量的PCR解析によりジンジパインのmRNAレベルは上昇するものの成熟タンパク質は菌体外に分泌されず、細胞質に不活性型分子として蓄積していた。一般にTCSTSのヒスチジンキナーゼ(HK)と応答調節因子(RR)の遺伝子は、染色体の上で連続して存在しオペロンを形成する。しかし、porYとporXは染色体上に離れて位置する孤立遺伝子であるため、リン酸転移反応を調べた。組換え型PorYタンパク質は自己リン酸化し、そのリン酸基はPorYからPorXに転移された。PorYとPorXの相互作用はBIA-CORE生体分子相互作用解析装置によっても確認され、両者が二成分制御系を構成することが示された。大部分のRRはそのC末端領域にDNA結合ドメインを有し、被調節遺伝子の上流に結合して、転写を制御する。しかし、PorXにはDNA結合モチーフがなく、ゲルシフト法によっても分泌装置タンパク質遺伝子群の上流に結合しなかった。PorXはC末端部分にPglZドメイン(アルカリ・ホスファターゼモチーフ)を有するが、実際にPorXには弱いボスファターゼ活性があることがわかった。 外界に反応して転写を調節するECF(Extracytoplasmic function)シグマ因子の一つと考えられるPGNO274遺伝子変異株も、分泌装置遺伝子の転写が起こらず、ジンジパイン分泌障害を示すことがわかった。PorX-YシステムとPGNO274遺伝子を両方欠損させると、相加的に、ほぼ完全に分泌装置転写発現が抑制されたことから、これらは別の経路として存在し、本菌の病原因子分泌機構を多重に巧みに調節することを示唆している。
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