2010 Fiscal Year Annual Research Report
Id2欠損マウスを活用した低分子化合物ハルミンの骨組織再生作用の解析
Project/Area Number |
22659356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江草 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30273692)
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Keywords | Id2 / harmine / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨組織再生 |
Research Abstract |
本研究計画は、小分子化合物ハルミンが、破骨細胞において分化抑制因子Id2の発現促進を介して分化を著明に抑制することから、ハルミンをId2欠損マウスあるいはこれに由来する培養細胞に作用させることで、新たな骨芽細胞、破骨細胞の分子機構を探索することを目的とする。本年度は、野生型およびld2欠損マウスから分離培養した破骨細胞あるいは骨芽細胞にハルミンを添加し、細胞分化に及ぼす影響を検討した。その結果、3-10μMのハルミンは破骨細胞分化に重要な役割をするNFATc1の活性を増強する一方で、破骨細胞分化初期における細胞融合を著明に抑制することが明らかとなった。また、Id2欠損マウスから分離培養した骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)は、野生型のBMSCと比較して骨芽細胞に分化し易い傾向を示し、ハルミンによる刺激によってその骨芽細胞分化は著明に亢進した。このように、Id2欠損マウスから分離培養した骨芽/破骨細胞は、野生型由来の細胞では著明に捕らえることのできない表現形を引き立てるという特徴があるため、これらの細胞が分化過程における未知の分子機構を解析するシステムとして適している可能性が考えられる。現在、野生型あるいはld2欠損マウス由来骨芽細胞を用いて、骨芽細胞特異的遺伝子群の発現を経時的に比較観察することで、細胞内分子伝達機構の検討を進めている。一方で、ハルミン投与がマウス生体の骨代謝に及ぼす影響を解析するために、予備実験として野生型マウス胎仔を用いて骨代謝異常あるいは骨格形成異常が生じるハルミン投与濃度の検討を行っている。
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