2011 Fiscal Year Annual Research Report
Id2欠損マウスを活用した低分子化合物ハルミンの骨組織再生作用の解析
Project/Area Number |
22659356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江草 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30273692)
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Keywords | id2 / harmine / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨組織再生 |
Research Abstract |
本研究計画は、ハルミンをId2欠損マウスあるいはこれに由来する培養細胞に作用させることで、新たな骨芽細胞、破骨細胞の分子機構を探索することを目的としている。これを達成するため、これまでにId2欠損マウスから分離培養した破骨細胞にハルミンを添加し、細胞分化に及ぼす影響を検討してきた。その結果、前年度にはハルミンが破骨細胞分化に重要な役割をするNFATc1の活性を増強する一方で、その分化を著明に抑制することをつきとめ、さらに本年度には、Id2がハルミンによる破骨細胞の細胞融合阻害に関与していることを明らかにした(Egusa H et al.Bone,2011)。また、Id2欠損マウスから分離培養した骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)は、野生型のBMSCと比較して骨芽細胞に分化し易い傾向を示し、ハルミンによる刺激によってその骨芽細胞分化は著明に亢進することを、アルカリフォスファターゼ活性染色法、von Kossa染色法およびリアルタイムPCR解析で確認した。これらの結果から、Id2欠損マウスから分離培養した骨芽/破骨細胞は、野生型由来の細胞では著明に捕らえることのできない表現形を引き立てるという特徴があるため、これらの細胞が分化過程における未知の分子機構を解析するシステムとして適している可能性が示唆された。一方で、ハルミンを野生型の妊娠マウスに腹腔内投与し、ハルミンが胎仔の発生過程における骨格形成におよぼす影響を検討した結果、その著明な影響は認めなかった。今後、Id2欠損マウスを用いて同様の実験を行うことにより、Id2を介したハルミンの骨代謝への作用を検討していく予定である。
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