2012 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞の機械的刺激応答機構および胚発育に及ぼす効果に関する研究
Project/Area Number |
22680036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精子 / 受精卵 / メカニカルストレス / 細胞内カルシウム濃度 / マイクロ流路 / 共焦点蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
1:近年の報告では、Transient receptor potential (TRP)チャネルが哺乳類細胞の機械受容チャネルとして機能しているとの報告がある。細胞膜の伸展に伴い、チャネルドメインが開く可能性が示唆されている (図2B)。他の報告されているマウス受精卵のMS応答機構について上記の可能性があるか検討するために、マウスの未受精卵および胚盤胞を蛍光抗体法によってTRPA1, TRPC1, 3, 5, 6, TRPM3, TRPP2, TRPV1, 2, 4の局在を調べた。その結果、胚盤胞の細胞膜上に数種のTRPチャネルの局在が示唆された。 2:ホールディングピペットで固定した受精卵内の各細胞を観察することに成功した。その結果、せん断応力の変化に伴い、マウス胚盤胞内の[Ca2+]iの上昇が観察された。一方、桑実胚または未受精卵ではこのような現象は観察されなかった。 3:ブタ受精卵の体外成熟および体外培養において、静置培養区に対する超音波照射区における胚盤胞到達率の上昇が観察された。1例だけであるがヒト受精卵においても同様の効果が得られている。振動培養装置(ネッパジーン㈱)を用いたマウス胚への効果と胚発生の機構を解明するための検討を行ったところ、振動培養における条件下では、2細胞期からの良好胚盤胞到達率および胚盤胞内細胞数に両区間で有意差は認められなかった。マイクロドロップ内の受精卵は振動負荷時には、振動・回転しながら移動することを確認した。振動培養ではMSと振動刺激の両方が負荷される。受精卵移動速度が著しく上昇したため、過度のせん断応力の影響があると考えている。 上記1-3の結果から、胚盤胞内の細胞にはメカニカルストレスを感知する機構が備わっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色の結果から複数の機械刺激受容チャネルがマウス受精卵に発現していることが示唆され、作業仮説を検証する段階に入ったと考えている。また、受精卵の固定に成功し、そのMS負荷時の応答を評価するシステムが立ち上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
受精卵内の各細胞の変化を観察可能となったため、阻害剤添加時における各細胞の細胞内カルシウム濃度変化の蛍光顕微観察によって、実際にせん断応力または圧縮負荷に伴う各細胞内分子内応答について実験を進める。 また、固定された精子に関するMS応答についても同様の実験を進めることが可能である。精子の場合は個々の細胞の違いが大きいために、標本数を増加させて統計学的に評価することを目指す。
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