2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22684018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 康弘 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (00415184)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 軌道秩序 / モット転移 / フラストレーション |
Research Abstract |
3d電子系における軌道依存モット転移を調べるために、軌道自由度を有するバナジウム酸化物の軌道分解NMR測定を行った。その結果、特にスピネル化合物LiV2O4の示す重い電子金属的性質を微視的に観測することに成功した。重い電子の起源を巡ってこれまで多くの理論的研究が行われてきたが、ミクロな電子状態は未解明であった。本研究では、単結晶角度回転NMR測定を室温から1.5Kまで行い、軌道秩序をはじめて観測した。得られた軌道占有率相関は、弱い金属で期待されるものとは異なり、軌道依存モット絶縁体で予想されているものと一致することが明らかになった。しかし磁気秩序はフラストレーションにより抑制され、軌道依存スピン液体状態を示唆する結果である。 軌道自由度をもつ二次元三角格子の典型物質であるLiVO2の軌道分解NMR測定を600Kまで行い、500Kの構造相転移点で軌道秩序のスイッチングを観測した。これ結果は、軌道フラストレーションを解消し、バナジウム三量体を形成する理論的なモデルを微視的に観測した初めての成果である。 擬一次元ジグザグ鎖を有するバナジウム酸化物V6O13において同様の実験を行った結果、これまで知られていなかったサイト依存金属絶縁体を見出した。片方の一次元鎖は、金属絶縁体転移以上の温度ですでに絶縁化しているのに対して、もう一方の鎖で軌道秩序を伴うパイエルス転移を起こっていることが判明した。 以上の研究は、強相関電子系における金属絶縁体転移近傍の異常物性に対する新たな微視的な知見をもたらすものであり、高圧下での軌道状態解明にも今後発展していくと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(18 results)