2010 Fiscal Year Annual Research Report
3次元周期構造を有する高分子エラストマーのフルカラーチューナブルレーザーへの応用
Project/Area Number |
22685025
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主任研究員 (30391220)
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Keywords | エラストマー / コロイド結晶 / フォトニックバンドギャップ / レーザー / チューニング / 白色発光 / ソープフリー重合 / エマルジョン重合 |
Research Abstract |
申請者は、最近、より積極的なブラッグ反射の利用として「コロイド結晶によるレーザー発振」に成功している。粒径が約200nmのポリスチレン微粒子のコロイド結晶膜と発光性高分子膜を組み合わせると、レーザーが発振する。しかしながら、レーザー発振の波長を自由自在にチューニングできていないことが現在の課題である。 本研究の目的は、高分子で固定化した高配向コロイド結晶膜の弾性特性を利用して、レーザー発振のフルカラー(全可視波長)チューニングである。この目標を実現するために、「粒径が数百nmの単分散・高分子コロイド微粒子」を設計・合成することから始まり、「高配向コロイド結晶膜の作製」と「高分子エラストマーによる膜の安定化」を行う。光の伝搬特性や分散関係を測定し、理論解析と併せて考察する。フェルスターエネルギー移動を利用した「白色発光する高分子コロイド結晶膜」を作製し、高分子の弾性特性によって「レーザー発振が400~600nmの全可視波長領域で自由自在にチューニングできる方法論」を確立する。 コロイド結晶をフォトニック結晶の分野に展開するには、意図しない欠陥構造を抑制する必要がある。そのためには、単分散性の高いコロイド微粒子の必要性が生じる。今年度は、高分子のコロイド微粒子の大量合成をソープフリー重合もしくはエマルジョン重合によって試みた。スチレンモノマーと重合開始剤、さらに界面活性剤を水に加え撹拌しながら加熱したところ、単分散性の高いポリスチレン(PSt)微粒子の合成に成功した。PSt微粒子の大きさや形状はモノマー濃度や反応温度等に依存する知見を得た。たとえば、180nmから450nmのPSt微粒子の合成条件を見出した。この合成技術を応用して、フォトクロミック化合物を含有した新しい光機能性PStコロイド微粒子を合成した。今後、新しいフォトニクス材料への発展性が期待できる。
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