2011 Fiscal Year Annual Research Report
3次元周期構造を有する高分子エラストマーのフルカラーチューナブルレーザーへの応用
Project/Area Number |
22685025
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主幹研究員 (30391220)
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Keywords | エラストマー / コロイド結晶 / フォトニックバンドギャップ / レーザー / チューニング / 白色発光 / ソープフリー重合 / エマルジョン重合 |
Research Abstract |
申請者は、最近、より積極的なブラッグ反射の利用として「コロイド結晶によるレーザー発振」に成功している。粒径が約200nmのポリスチレン微粒子のコロイド結晶膜と発光性高分子膜を組み合わせると、レーザーが発振する。しかしながら、レーザー発振の波長を自由自在にチューニグできていないことが現在の課題である。 本研究の目的は、高分子で固定化した高配向コロイド結晶膜の弾性特性を利用して、レーザー発振のフルカラー(全可視波長)チューニングである。この目標を実現するために、今年度は不揮発性液体であるイオン液体に着目して、永続的に安定化したコロイド結晶ゲル膜を作製し、チューナブルレーザーに成功した。粒径が約120nmのポリスチレンコロイド微粒子を含む水分散液をキャピラリーセル中に流動させ、高分子ハイドロゲル〔poly(N-methylolacrylamide-co-N,N'-methylenebisacrylamide)〕で固定化した良配向コロイド結晶ハイドロゲル膜を作製した。その後、このコロイド結晶ゲル膜をローダミン誘導体のイオン液体溶液に浸漬すると、高分子ゲルの溶媒である水が蒸発するとともにイオン液体が膜に浸透し、乾燥した大気中においても永続的に安定なコロイド結晶ゲル膜を得ることができた。コロイド結晶ゲル膜を光励起すると、レーザー発振を示し、その発光のスペクトル線幅は0.06nmにも達していた。光共振器の品質を表すQ値は1.09x104と算出でき、これまでのコロイド結晶のレーザー発振に関する報告と比較するとトップの値であった。さらに、コロイド結晶ゲル膜の膜厚方向に機械的応力を加えると、レーザー発振の波長チューニングに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不揮発性液体であるイオン液体を用いて、永続的に安定化したコロイド結晶ゲル膜を作製し、チューナブルなレーザー発振に成功した。今後は、レーザー波長のチューニング範囲を拡大するべく、エネルギー移動による白色発光材料を合成する。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体に蛍光色素を溶解すると、ある種の組み合わせで、色素が退色することを発見した。イオン液体における色素の安定性などを調査した研究は、これまで皆無である。今後、高い安定性を示す蛍光色素とイオン液体の組み合わせとその原理について探求する。
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