2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市型短時間集中豪雨と都市化進展の関連性に関する解析及び観測による基礎的検討
Project/Area Number |
22686053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川本 陽一 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70569730)
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Keywords | 建築環境・設備 / 都市気候 / 自然現象観測・予測 |
Research Abstract |
本研究では、都市化の進展に起因する局所的な気候の変化である都市気候の諸問題のうち、ゲリラ豪雨の呼称で近年注目を集める都市型短時間集中豪雨を対象とする。都市型短時間集中豪雨についてはそのメカニズムが未だ解明されておらず、観測による現況把握、及び、シミュレーションによる数値解析の両面からアプローチし、その基礎的な知見を集積する事を目的とする。 東京首都圏のゲリラ豪雨の原因の一つとして、東京湾・相模湾・鹿島灘などからの海風の収束域が都市化の影響により変化した事が挙げられている。海風は最大で高さ1km程度の構造を持つため、その性状を観測するためには地上観測のみではなく高層観測を併せて行う必要がある。平成23年度は東京湾に近い東京都心部と、より内陸部に位置する埼玉県の2地点においてリモートセンシング機器であるドップラーライダーを用いて上空の風の同時観測を行った。台風の影響により当初予定していた観測期間を短縮せざるを得なかったが、平成24年度に追加の観測を行う事で十分な成果が得られた。平成24年度の観測では東京都心部の1地点において低層GPSゾンデを用い、上空の風のみでなく温度・湿度を同時に観測し、海風到達前後の温度・湿度・風の変化を捉えた。これらの観測結果は今後のシミュレーションを用いた数値解析に大いに資するものである。 一方のシミュレーションについては、1980年代に行われた高層観測を対象とした再現計算を行い、十分に解析精度を有する事を確認した。同時に国土数値情報の土地利用データを用いて1970年代から1990年代の都市化の進展を再現した数値解析を行い、東京首都圏の都市化の進展が夏期の東京湾からの海風の進入速度に影響を及ぼす事を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で対象とした海風進入の観測は気象条件に左右されるが、限られた観測期間の中で十分な成果を得られた。平成23年度夏期は台風の影響により当初予定より観測期間を短縮する必要が生じたが、平成24年度夏期の観測を増強する事で、十分な観測データが得られた。シミュレーションによる数値解析についても、都市化の進展が海風進入速度に及ぼす影響を定量的に示す結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度及び平成24年度の高層観測により得られたデータの更なる解析を行い、海風が沿岸都市の都市気候形成に与える影響を検討する。平成24年度の観測については他機関が同時期に行った観測データの提供を受けており、それらを含めた観測結果の解析を行う。 また数値気象モデルを用いたシミュレーションによる数値解析を併せて行い、ゲリラ豪雨を始めとした都市気候のメカニズムの解明を進める。
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Research Products
(3 results)
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[Book] Ventilating Cities: Air-flow Criteria for Healthy and Comfortable Urban Living2012
Author(s)
Z. Bu, H. Hayami,K. Hiyama,T. Hoshiko, H. Huang, S. Kato, Y. Kawamoto, M.V. Khiem, M.F.B. Mohammed, F. Nakajima, K. Nakao, R. Ooka, T. Prueksasit, H.B. Rijal, K. Yamamoto, H. Yoshikado
Total Pages
197 (11-32)
Publisher
Springer