2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22686067
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 宗一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30431331)
|
Keywords | 微細粒鋼 / 鋳造・凝固 / シミュレーション / 包晶反応 / 共析反応 |
Research Abstract |
本研究は、包晶鋼のオーステナイト粒組織をサブミクロンレベルまで微細化することを目的とするものである。その特徴は、従来型のひずみ加工プロセスを用いず、包晶反応を利用した凝固組織制御による微細化を主として、その後の熱処理のみで超微細化指針を得ることにある。本研究は、(a)Ti,Nb,V等の炭窒化物等を利用した凝固組織微細化法の発展と、(b)微細凝固組織を初期組織とする固相変態カイネティクスにおける結晶粒微細化技術への展開、の両輪で進行する。鋳造・凝固及び逆変態熱処理実験及び各種計算材料科学手法を有効に活用し、実験と計算シミュレーションの相補的アプローチから、超微細粒鋼の創製を試みる。平成22年度においては、Ti,Nb,V等の炭窒化物を利用した凝固組織のCET発現と、炭窒化物の微細分散化による鋳造オーステナイト粒微細化を主に試みた。まず、Ti,Nb,V等の炭窒化物安定化元素の添加に伴う相平衡のCALPHAD解析を行い、本年度で対象とした0.2mass%鋼においてCETを誘発する元素はTiのみであることが明らかとなった。鋳片オーステナイト粒組織の微細化の実験的調査において、Ti,Nb,Vいずれの元素も鋳片オーステナイト粒をデンドライトサイズ程度まで微細化することが示された。Ti及びNbは炭窒化物によるピン止め効果をもたらす一方、Vはフェライト安定化元素として働き、V添加によって安定化したδ相がγ粒成長のピン止めすることで鋳片組織の微細化を生じさせることを明らかにした。
|