2010 Fiscal Year Annual Research Report
窒化クロムの元素置換による正方晶化:要因解明と超高硬度材料の新規合成
Project/Area Number |
22686069
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (00313560)
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Keywords | 硬質材料 / 薄膜 / パルスレーザー堆積法 / 固溶硬化 / ナノコンポジット |
Research Abstract |
金属の切削加工は、もの作りの重要な基本工程の1つである。この工程に使われるドリルやエンドミル等の切削工具には、極めて硬い材料が薄膜としてコーティングされている。本研究では遷移金属窒化物の構成元素の一部を他元素に置換固溶し、結晶構造を立方晶から正方晶に転移させる。この正方晶転移は塑性変形を司るdislocationの運動を妨げ、すべり系の数を減少させるため、高硬度化に直結することとなる。薄膜の作製には、研究室に現有のパルスレーザー堆積装置を用いた。(NH_3+O_2)雰囲気中で回転CrターゲットにNd:YAGレーザーを照射し、発生したアブレーションプラズマを対向位置に設置した基板上に堆積させることにより薄膜を作製した。大気からのリークを利用し、雰囲気ガス圧、到達真空度を調整して酸素量を制御した。作製したCr(N,O)薄膜を、In-plane、Out-of-Planeの2種類のX線回折で格子定数を測定した結果、軸比c/a=1.01程度の正方晶に歪んでいる事が確認できた。ビッカース硬度はCrNの約2000に対して、3700程度となった。さらなる高硬度化を狙い、第4元素として、MgやSiの添加を試みた。Mgの場合は、CrNとMgOの擬二元系の固溶体(Cr,Mg)(N,O)が作製できたと考えられた。ビッカース硬度は(Cr,Mg)(N,O)は4500程度と極めて高硬度を実現した。一方、Siを添加した場合は(スパッタ法で作製した結果ではあるが)、SiはCrNもしくはCr(N,O)の結晶粒中には殆ど固溶しないと思われ、Siリッチな酸窒化物相が粒界層となるナノコンポジット構造を形成することが判明した。結晶粒の大きさは5nm程度であり、ビッカース硬度が5000程度と高硬度であった。
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Research Products
(4 results)