2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22687013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 智康 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (80503490)
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Keywords | 減数分裂 / RNA分解 / 核内構造体 |
Research Abstract |
減数分裂は、接合あるいは受精に先立ち正しく染色体数を半減させると同時に、相同染色体間に高頻度の組換えを誘発して遺伝情報の交換・多様性をもたらす極めて重要なステップである。したがって、減数分裂機構の解明は、生殖細胞形成不全や染色体異常などの疾病を理解するために不可欠である。分裂酵母において、減数分裂期に必要な遺伝子群のmRNAは栄養増殖期では積極的に分解されるが、減数分裂期には安定化し翻訳される。本研究では、分裂酵母における減数分裂期mRNA分解・安定化の分子メカニズムを遺伝学的・生化学的手法により明らかにし、RNA調節による減数分裂制御機構の理解を目指している。 (1)Red1複合体の精製と個々のサブユニットの機能解析:我々は、細胞内局在を指標としたスクリーニングにより、減数分裂期mRNA除去に必須の因子Red1を同定し、報告した。Red1の機能を生化学的に明らかにする為に、Red1タンパク質を精製した。精製分画をSDS-PAGEで分離しRed1に結合するタンパク質の有無を検討したところ、Red2およびRed3が検出された。さらに、red2およびred3変異株では、破壊株がRed1欠損株と同様にいくつかの減数分裂期mRNAの上昇が見られた。したがって、これら3つのタンパク質が生体内で複合体として存在し、減数分裂期mRNAの分解を担っていることが予想された。 (2)Red1により制御される遺伝子群の包括的同定と標的遺伝子の減数分裂における機能解析:Red1欠損株では数種の減数分裂期mRNAの上昇が確認されたが、減数分裂期mRNAのみが上昇しているのか、或いは減数分裂とは無関係な他の遺伝子群も上昇あるいは減少しているのかは不明である。Red1欠損株における遺伝子発現状態を網羅的に解析する為に、Nimblegen社製分裂酵母マイクロアレイを用いた発現解析を行った。その結果、Red1欠損株で発現が上昇していたmRNAの約9割が減数分裂期に発現上昇が見られるmRNAであった。このことから、Red1は主として減数分裂期mRNAを標的としていることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)