2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22687013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉山 智康 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80503490)
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Keywords | 減数分裂 / RNA分解 / 核内構造体 |
Research Abstract |
減数分裂は、接合あるいは受精に先立ち正しく染色体数を半減させると同時に、相同染色体間に高頻度の組換えを誘発して遺伝情報の交換・多様性をもたらす極めて重要なステップである。したがって、減数分裂機構の解明は、生殖細胞形成不全や染色体異常などの疾病を理解するために不可欠である。分裂酵母において、減数分裂期に必要な遺伝子群のmRNAは栄養増殖期では積極的に分解されるが、減数分裂期には安定化し翻訳される。本研究では、分裂酵母における減数分裂期mRNA分解・安定化の分子メカニズムを遺伝学的・生化学的手法により明らかにし、RNA調節による減数分裂制御機構の理解を目指している。 (1)新規減数分裂期mRNA抑制因子Rhn1の同定: 我々は、細胞内局在を指標としたスクリーニングにより、核内でドット状に局在する因子群を同定している。そのうちの一つ、Rhn1について機能解析を行った。Rhn1は一次構造から種々の生物に保存されており、pre-mRNA転写終結に関与する因子と相同性を示した。実際、Rhn1はポリA付加依存的な転写終結に関与するPcf11と結合、および核内で共局在していた。次に、Rhn1欠損株を作製し表現型を調べたところ、rhn1欠損株は高温感受性を示すと共に、栄養増殖期にもかかわらず減数分裂期mRNAの発現レベルが上昇していることを見出した。さらに、線虫におけるRhn1の相同遺伝子をRNAi法によりノックダウンしたところ、生殖細胞特異的遺伝子の発現上昇が体細胞に於いて観察された。これらの結果から、Rhn1は減数分裂期mRNA抑制に関わる因子であり、その機能が多細胞生物においても保存されていることが示唆された。現在、これらの成果は投稿中である。 (2)新規減数分裂期mRNA抑制因子Red5の同定: Rhn1を同定したスクリーニングにより、新規因子Red5も同定している。Red5は生育に必須であるため、変異株を単離し表現型を解析した。その結果、red1欠損株同様に、減数分裂期mRNAの発現上昇が観察された。しかしながら、Red5はRed1などの既知因子と結合しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、減数分裂期mRNA分解に関与するRed1を報告している。また、Red1複合体(Red1/Red2/Red3)については若干遅れているものの、この経路に関与する因子を複数(Red5/Rhn1)同定しており、Rhn1は現在投稿中である。したがって、全体的に見れば概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの研究期間で、少なくとも3報(Red1複合体、Rhn1、Red5)報告できるよう、このまま研究を継続していきたい。研究自体は順調に進行しており、特に問題点は見当たらない。したがって、2年間で目標は達成可能と考えている。また、Red1論文を報告したときと同様に、今後も積極的にプレスリリースを行いたい。
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Research Products
(3 results)