2010 Fiscal Year Annual Research Report
可逆・不可逆的なクロマチン環境を制御する新たなエピゲノムコードの解明
Project/Area Number |
22688008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武山 健一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30323570)
|
Keywords | クロマチン高次構造 / ヒストンシャペロン / エクダイソン / ビタミンD受容体 / RNA interference |
Research Abstract |
時期や組織特異的な遺伝情報の伝達において、ヒストン八量体からなるヌクレオソームを基本単位としたクロマチン高次構造(環境)は、絶えず多様に変化する。一般にクロマチン環境は、体細胞でのホルモン応答や栄養状態による可逆的な変化と、個体発生や細胞分化時の不可逆的な変化が生じる。近年、これら変化は、遺伝子の配列や修飾に基づく情報に加え、ヒストンの修飾や置換を伴うエピゲノム制御機構と考えられるようになった。本研究では、申請者がこれまで転写制御機構を解析した転写因子群を基軸として、新たなクロマチン環境制御因子群を同定することで、クロマチン環境の可逆性と不可逆性を規定するエピゲノムコードを見出すことを目的とした。平成22度の実績として具体的には、ショウジョウバエの成熟ホルモン・エクダイソン作用にかかわるエピゲノム制御因子の一つ、ヒストンシャペロンを同定し、その機能を見出した。ヒストンシャペロンDEKがヒストンH3をH3.3に置換する重要な因子であり、クロマチン環境の可逆性あるいは不可逆性を規定するエピゲノムコードの一つとして見出すことに成功した。また、クロマチン環境制御機構がタンパク機能では理解し難い作用機序も考え、新たな機能的RNA分子の探索を行ったところ、熱ショックの様な一過的にかつ豊富に産生されるmRNAの安定化制御にはRNA interference機構にかかわるDicerが機能し、自身のRNAを積極的に消化する機構を見出した。Dicerはヘテロクロマチン化に重要であることも判明しており、RNAの安定化とクロマチン構造変化の相互関係の解明は非常に興味深く展開できると考えている。
|
Research Products
(6 results)