2011 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム相関解析を用いたクローン病関連遺伝子の同定および病態解明
Project/Area Number |
22689025
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 慶子 独立行政法人理化学研究所, 多型解析技術開発チーム, 研究員 (50415329)
|
Keywords | クローン病 / SNP(一塩基多型) / GWAS(全ゲノム相関解析) |
Research Abstract |
クローン病(Crohn's disease CD)は原因不明の慢性腸疾患であり、遺伝要因の強い多因子疾患である。欧米より報告された関連遺伝子の多くに人種差があるため、日本人検体を用いたクローン病の解明が必要である。我々は約55万SNPを用いた全ゲノム相関解析(GWAS))を行い、下記実施計画に基づき研究を遂行した。 a)別サンプル集団を用いた新規CD関連SNPの検証 b)関連領域周辺のSNP探索および高密度SNP地図の作成 昨年度a),b)を終了したものの、GWAS使用検体の変更に伴い、a),b)を再度施行した。新規関連領域がふえ、計2か所同定した。 また、本来の実施計画に基づき、下記研究を行った。 c)疾患関連SNPとクローン病の関係を調べるための機能解析 同研究により同定された「真の疾患SNP」の機能的意義の検討を行う。昨年同定した非遺伝子領域について、解析を行っている。非遺伝子領域内に登録されているESTについて、全長をクローニングし新規ノンコーディングRNA(ncRNA)を同定した。CD関連遺伝子の最重要候補と考え、機能を解析中である。 d)クローン病関連遺伝子改変マウスを用いたクローン病病態解析 我々はすでにTNFSF15を日本人クローン病発症にかかわる重要な遺伝子として報告している。現在、TNFSF15のノックアウトマウス、ノックインマウスを作成済みである。DSS経口投与による腸炎誘導による病理学的、そして免疫学的な検討を行い、クローン病モデル動物としての妥当性を検討している。 欧米人集団を用いたCDの大規模メタ解析により71カ所のCD関連領域が報告された(Franke et.al 2010)。しかし本領域は含まれておらず、日本人を含む東アジア人CD特異的な関連領域である可能性を示唆した。同じ疾患でも関連遺伝子が違うことも含め、検討していぐ予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究デザイン変更に伴い、当初目的としていたGWASを用いたCD関連遺伝子の報告が予定よりも遅れてしまっているが、近日論文投稿予定である。また、機能解析等については順調に進んでいるため、自己採点は「(2)おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通り、下記2課題を中心に研究を推進する予定である。 c)疾患関連SNPとクローン病の関係を調べるための機能解析 d)クローン病関連遺伝子改変マウスを用いたクローン病病態解析 機能解析は、CDの発症機序の解明、ついては治療薬開発の上で最重要課題と考えている。そのため、作成した遺伝子改変マウスをもちいた腸炎発症機序の解明等を中心に研究を進行する予定である。
|