2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22689041
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
塚原 智英 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20404634)
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Keywords | 骨肉腫抗原 / HLA/ペプチド複合体 / ファージディスプレイライブラリ |
Research Abstract |
1.骨肉腫抗原PBF(papillomavirus binding factor)を標的としたHLA-A24およびHLA-A2陽性骨肉腫患者に対するペプチドワクチン第1相臨床試験を行った.HLA-A24陽性患者4例(ペプチド1mg+IFA2例,ペプチド10mg+IFA2例)HLA-A2陽性患者1例(ペプチド1mg+IFA)にワクチン接種を行った/転帰はいずれもPDであったが,HLA-A2陽性患者はペプチドワクチンの接種を継続しており,現在8ヶ月を経過して生存中である.ペプチドワクチン6回接種後に切除した皮膚転移巣にはCD8陽性T細胞の浸潤が認められた.また腫瘍組織は標的抗原PBF強陽性,HLA class I分子強陽性を示した. 2.ファージディスプレイscFv人工抗体ライブラリを構築し,CTLの標的となる骨肉腫抗原PBFペプチドとHLA class I分子の複合体を特異的に認識するナチュラルエピトープ抗体を樹立した.次に,scFvクローン#1を2価のヒト型IgG1に変換した#1scFv-hIgG1を得た.#1scFv-hGG1抗体は細胞表面上のHLA-A2に提示されるPBF A2.2ペプチドを特異的に認識し,FACSで検出可能であった.また#1scFv-hIgG1をテトラマー化することで検出感度を増強させることができた.#1scFv-hIgG1の結合親和性を表面プラスモン共鳴解析で検討じた.抗体の親和性を示すKD値は10e-9Mレベルであった.同様の特異性を持つT細胞受容体レコンビナント蛋白で一般に10e-5Mレベルと報告されており,本抗体の抗原親和性は極めて高い事がわかった.この人工抗体により,骨肉腫の細胞表面上に提示されるペプチドとHLA class I(A2アレル)の複合体を直接検出できる可能性がある.またscFvよりchimeric antigenic receptor遺伝子を構築してリンパ球に導入することで,新しいエフェクター細胞の開発につながる可能性がある.
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