2012 Fiscal Year Annual Research Report
複数右辺項をもつ連立一次方程式の高速・高精度求解法の開発と科学技術計算への応用
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22700003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
多田野 寛人 筑波大学, システム情報系, 助教 (50507845)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 連立一次方程式 / 複数右辺ベクトル / Block Krylov部分空間反復法 |
Research Abstract |
本研究課題では,複数本の右辺ベクトルをもつ連立一次方程式に対する高速・高精度な数値解法の開発を目的としている.このような連立一次方程式は様々な応用分野において現れ,同方程式の求解部分が計算時間の大部分を占めているため,高速に解くことが求められている.複数右辺ベクトルをもつ連立一次方程式に対する反復解法として Block Krylov部分空間反復法があり,このカテゴリに属する解法が数多く提案されている. 右辺ベクトル数が多い場合は,Block Krylov部分空間反復法は数値的に不安定な状況に陥り,高精度近似解が得られない,または残差が発散することがある.本研究課題を通して開発されたBlock BiCGGRRO法は,数値的不安定性の緩和を行うことで高精度近似解を生成でき,かつ高い収束性をもつ手法である.しかしながら,同法の反復過程では縦長行列の正規直交化を行う必要があり,この部分が計算時間を増大させていた. 平成24年度は,Block BiCGGRRO法の収束性の維持と計算時間の削減を目的として,研究を行った.同法において計算時間を削減するには,正規直交化の実行回数を減らす必要がある.しかしながら,強制的に正規直交化を実行しないようにすると,解法の収束性に悪影響を及ぼす.本研究課題では,反復過程で数値的不安定性を検知するための指標について研究を行い,正規直交化を行うかどうかを動的に判断する手法を開発した.同手法で必要とする計算量は極めて少ないため,計算時間に与える影響は少ない.開発手法において適切なパラメータを設定することにより,収束性に大きな影響を与えることなく計算時間を削減できることが確かめられた.また,格子量子色力学計算で現れる連立一次方程式に対して本手法を適用し,その有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)