2011 Fiscal Year Annual Research Report
感情意図ラベリングに基づく音声言語コミュニケーションスキルの発達分析
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22700170
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
桐山 伸也 静岡大学, 情報学部, 准教授 (20345804)
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Keywords | 感情意図ラベリング / 音声言語発達 / マルチモーダル / 子どもの行動コーパス / コモンセンス |
Research Abstract |
本研究では、最も根源的なコミュニケーション手段である音声言語能力の発達過程を観察し、人間の知能発達過程の根幹を記述する計算機モデルの構築を狙っている。感情とは心の状態であり、思考方法を切り替えるスイッチであるというMinskyの理論に基づき、感情意図ラベルを手掛かりとした発話分析をコアメソッドとして音声言語コミュニケーションスキルの初期発達過程のモデル化を目指している。平成23年度は、前年度までに整備した2,400発話の感情意図ラベリングデータと、感情意図ラベルの時系列変化に着目した事例検索機能を持つマルチモーダル発話行動分析システムを活用し、円滑な対人関係の形成に関する音声コミュニケーションスキルの発達分析を実施した。感情意図ラベルの時間変化パターンを手掛かりに抽出した特徴的な場面の行動観察を行い、発達段階による行動目標の違いを明らかにし、子どもの行動発達理解に役立つ映像事例を抽出できた。他の子どもと一緒に遊ぶ中で、他者の行動に干渉する、いわゆる「おせっかい」の場面について、30ヵ月前後では他者の意図とは無関係に自分のやりたい遊びを継続する自分本位の行動が主体だったのが、50ヵ月前後には他者の遊びへの干渉が増え、自分の意図どおりに他者を制御する行動が目立つようになり、70ヵ月ほどになると、手を出すなどの行動で相手に干渉する代わりに、やり方を教えるなど音声言語主体の関わり行動に変化する様子が観察された。さらに、行動発達分析によって得られた特徴的な映像事例を、保育者向けの子育て支援知識映像コンテンツに仕立て、子育て支援Webサイトで公開した。
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Research Products
(10 results)