2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700171
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西野 隆典 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40329769)
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Keywords | 頭部伝達関数 / 時空間周波数解析 / 拡散性雑音 / 計測雑音検知 / 雑音抑圧 / インパルス応答計測 |
Research Abstract |
立体音響システムで利用される頭部伝達関数の計測において,計測環境の背景雑音や測定機器による熱雑音の影響が計測された頭部伝達関数に与える影響を,時空間周波数解析による調査を行い,計測後にこれら雑音の低減・除去を行う手法の検討を行った。本年度得られた成果は,高残響下で計測された頭部伝達関数が,低残響下で計測された頭部伝達関数へ近づけることが可能であることを示したことである。 これまでに得られた成果として,頭部伝達関数に由来する成分は特定の領域(三角形の領域)に現れ,その他の残響や熱雑音に由来する成分は時空間周波数領域に広く現れることが確認されている。この事実を利用し,頭部伝達関数と対応する時空間周波数領域以外の領域の成分を抑圧する雑音抑圧手法を提案し,その効果を検証した。高残響下(約460ms)で計測された頭部伝達関数に対し提案手法を適用したところ,低残響下(約150ms)で計測された頭部伝達関数に近づくことを確認した。これにより,従来,頭部伝達関数の測定には無響室や低残響室といった特殊な音響環境が必要であったが,オフィスや家庭環境における計測の可能性を示すことができた。 しかし,提案手法による効果の程度はわずかであったことから,フィルタ設計における雑音領域の推定法の改良や,雑音そのものの時空間周波数特性の解析が必要であると考える。また,時空間周波数解析において現れる頭部伝達関数が頭部や耳介の大きさなど身体的特徴量とどのような関係があるか,水平面上だけでなく上下方向への拡張といった課題を今後解決する必要がある。
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