2010 Fiscal Year Annual Research Report
背景色と照明色の変化に伴う液体の色知覚変化についての包括的測定とモデル化
Project/Area Number |
22700218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳永 留美 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (80573914)
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Keywords | 感性情報学 / ソフトコンピューティング / 認知科学 / 実験系心理学 / 色彩情報処理 |
Research Abstract |
私達が物を見るとき、物体の表面から光沢感、凹凸感、透明感などの様々な印象を受ける。さらに、私達は、これらの情報を元に物体の硬度や重量なども予測している。このように物体表面から受ける印象は、実生活でスムーズに行動するための重要な情報源である。これを反映して、近年、3次元ディスプレイやコンピューターグラフィクスによる実物に近い質感の再現についての様々な研究が行われている。本研究は、透明色知覚の一つである液体の色知覚に着目し、実空間に置かれた液体の色表現の為の刺激条件を調べる研究である。本年度は、任意の照明色、背景色を提示可能な実験ブースの作成と実験の条件設定、予備実験を行った。装置の作成については、スライドプロジェクタを天井に設置することで、上方からテーブル上の観測者の目線に置かれた液体を照明するようにし、また液体の背景色を変化させるために、壁の色紙が取替え可能な小箱を作成した。次に、実験で用いる照明の光色として、A光源とD光源を含めた7色を選定した。液体の色は、D光源下における液体の色度と赤、黄、緑、青、紫、A光源のそれぞれの照明光色下での色度差の大きな8色を選定した。予備実験としてカテゴリカルネーミングによる色名を用いた色知覚判定を行った結果、照明の光色の変化に伴う色カテゴリーの変化は、色度変化の方向への色変化として説明可能である傾向を示した。このことから、さらにエレメンタリーカラーネーミングにより、色知覚変化の方向と色知覚変化量のデータを収集し、照明の光色や背景色の変化に伴う物理的な液体の色度変化と、それに伴う知覚色の変化を比較する必要があることが分かった。さらに、このことから液体の色知覚変化を定量的に示すことが可能であることが示唆された。
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