2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700245
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 真紀 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (80448018)
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Keywords | 新約聖書学 / グラフ理論 / ネットワーク分析 |
Research Abstract |
本研究は、聖書学におけるギリシャ語新約聖書の主要な校訂本を対象にして、写本の異読情報を付帯した意味ネットワークを構築し、グラフ理論に基づいたネットワーク分析を適用する。複雑な校訂本の体系をネットワーク構造として捉えることで、従来の文献学の方法論では困難であった校訂本の影響関係や写本の選択傾向を計量的に分析し、諸校訂本の比較を行うことを目的としている。 初年度は、現在市販の5つの校訂本ギリシャ語聖書校訂本の電子テキストをもとにして計量分析用のデータ形式に変換する作業を中心に進めた。意味ネットワークは、様々な設定条件のもとで複数の意味ネットワークを構築し、ネットワーク基本特性量からデータの構造を考察した。意味ネットワークの構築は、節を単位とした単語の共起情報、主要キーワード周辺の単語情報などの設定条件のもとで、一つの校訂本に対して複数の意味ネットワークを構築した。 構築した諸本ネットワークの体系・構造の特性を調査する方法論は、Steyvers&Tenenbaum(2005)が、大規模自然言語データとしてWordNet(Fellbaum,1998)から構築した意味ネットワークを用いて、実世界の複雑系ネットワークにみられる特性を確認した手法を導入した。基本統計量として、スケールフリー・スモールワールド性を明らかにするために欠かせない指標として、次数分布とクラスタリング係数を算出し、スケールフリー・スモールワールド等のネットワークの体系を示す特性を調べ、各諸本の構造の類似・差異を確認した。諸本比較研究のプロトタイプとして、小規模なネットワークデータでの比較研究を行った。
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Research Products
(7 results)