2011 Fiscal Year Annual Research Report
東洋古典文献学のための実体験可能な研究情報共有基盤の構築に関する研究
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22700255
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永崎 研宣 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 研究員 (30343429)
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Keywords | 東洋古典文献学 / デジタル化 / 仏教学 / テキストデータベース |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に利用者から得たフィードバックに基づいてシステムの再構築を進めた。また、同様の仕組みの一部を援用し、ハンブルク大学を中心に展開されつつある仏教学デジタルレクシコンの構築を行い、その部分について世界中の研究者からのフィードバックを得た。その成果及び現状を、スタンフォード大学にて開催されたDigital Humanities国際会議、及び人文科学とコンピュータシンポジウムで発表し、人文学へのコンピュータ利用に関心のある研究者からのフィードバックを受けるとともに、台湾ではInternational Association for Buddhist Studies、国内では印度学仏教学会においても発表を行い、仏教学研究者からのさらなるフィードバックも得た。具体的な内容としては、ネックとなっていた外字の扱い、及び、テキスト断片の位置情報取得の際の若干の不安定さの解消のため、元になるテキストデータ自体の構造を抜本的に変更し、これにあわせてシステムの関連箇所をすべて修正した。それによって、この問題点はほぼ解消された。また、この仕組みのワークフロー、及びインターフェイスを仏教学デジタルレクシコンに適用することで、それらに関するフィードバックを受けたが、これについては概ね好評であり、今後も現在の方向性で進めていけるという感触を得たところである。 一方で、前年度に引き続き、このような人文学デジタル化に関わる活動の意義についての検討を続けており、国内各地の研究会にてこれをテーマとした講演や研究発表を行った。そして、特に国内の状況に関して行った検討の成果を豪州圏Digital Humanities学会において発表し、議論を行ったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の主たるテーマである実体験可能な研究情報共有基盤の構築に関して、実際に研究者の利用に供しつつフィードバックを受け改良を進めるというプロセスが適切に進展しており、これについての研究発表も着実に行われているため。
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Strategy for Future Research Activity |
実体験可能な研究情報共有基盤を公開するために、より堅牢なWebコラボレーションシステムの開発に努める。また、本課題の中心となる『中論』の記述にあたってのメタデータを改めて検討し、より適切な構築・公開手法を検討する。特に本年度は、梵本注釈及び漢訳注釈の写本に関して、可能な限り広く渉猟し検討を重ね、システムに反映させる。
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Research Products
(5 results)