2011 Fiscal Year Annual Research Report
レトリカルデータベースシステムの構築による計量的修辞分析手法の確立
Project/Area Number |
22700256
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村井 源 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教 (70452018)
|
Keywords | 修辞構造 / レトリカルデータベース / 聖書 / 物語構造 / 翻訳 |
Research Abstract |
(1)レトリカルデータベースシステムの開発 リレーショナルデータベースを用いた,古典的修辞構造蓄積のためのデータベースシステムの開発を,Web上から閲覧可能なJavaのJSPを用いて行った。具体的には,すでに分析していた新・旧約聖書中の修辞構造を中心にデータを入力し,特定のテキスト箇所ごとの修辞構造の一覧と,特定の修辞構造における関連テキスト箇所の一覧が表示できるようになった. また,構築したデータベースによって得られた修辞構造一覧のリスト部分をHTML化して,研究代表者のホームページ上にて公開を行った。 (2)修辞構造の分析 上述のレトリカルデータベースシステムに蓄積された修辞構造の妥当性を数値的に検証するためのアルゴリズムの検討を行い,ランダムなテキスト間の組み合わせに基づく修辞構造作成のプログラムを試験的に実装し,検討対象修辞構造との比較をいくつかのテキストに対してケーススタディ的に行った.結果としていくつかの修辞構造に関しては5%有意水準での有意差がいくつかの単語やフレーズの組み合わせに関して抽出された. また前年度に引き続き、新・旧約聖書中の修辞構造の分析を継続して行っている. (3)文・命題の自動分析 映画・演劇の批評テキストを対象に,何に対する批評であるかという分類を、対象を特徴的に示す単語に基づいて,文単位で自動的に行う分析を実施した.分析の結果,映画と演劇での批評における視点の相偉や批評対象間の関係性の相違が数値的に明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階でリレーショナルデータベース上に修辞構造のデータを蓄積し、表示・抽出の可能なソフトウェアが開発できている。また、データベースに格納するための修辞データの分析も順調に進んでおり代表者HP上での公開を実現した。文・命題の関係性の自動分析に関しては、文レベルに対する単語に基づいた自動分類まで実現できており、残り期間内でこれを命題レベルでの分析と分類に拡張する目途は立ったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発されたレトリカルデータベースシステムを用いて、計量的なデータに基づいた修辞分析の手法を研究する。古典テキストの研究において頻繁に発生する、研究者によって異なる多数の修辞構造の仮説に対して数値的な妥当性の評価を行うためのアルゴリズムの開発と実装を進める予定である。 文・命題の関係性の自動分析に関しては、すでに実現した文レベルに対する自動分類を拡張して、命題レベルでのより詳細な分析と分類を実現する予定である。また開発した自動分類手法を用いた人文系テキストの計量的な意味分析を実施し、その有効性を確認する。
|
Research Products
(9 results)