• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Annual Research Report

レトリカルデータベースシステムの構築による計量的修辞分析手法の確立

Research Project

Project/Area Number 22700256
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

村井 源  東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (70452018)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords修辞構造 / データベース / 聖書 / 物語構造 / プロット
Research Abstract

(1)修辞構造の特定
前年度に引き続き、新・旧約聖書中の修辞構造の特定とデータ化を継続して行い、テキスト全体の大きなサイズの修辞構造に合わせて、テキスト中の小物語区分の中に存在する文や命題を単位とする修辞構造の分析とデータベース化を進めている。現在旧約聖書中31巻、新約聖書中27巻分のテキスト全体に亘る修辞構造の分析を終え、約1000の修辞構造と約6500の対応テキスト箇所の対を抽出した。またテキストの小物語区分(pericope)における修辞構造を約1500抽出できている。また、研究代表者ホームページ(http://www.valdes.titech.ac.jp/~h_murai/bible/bible.html)上にテキスト全体に亘る修辞構造に合わせて、命題や文やフレーズの単位からなるそれらの小さいレベルの修辞構造も公開を行った。
(2)修辞構造の妥当性の分析
上述のレトリカルデータベースシステムに蓄積された修辞構造の妥当性を数値的に検証するためのアルゴリズムの検討を行い、ランダムなテキスト間の組み合わせにランダムなテキストの分割位置に基づく修辞構造作成のプログラムを実装し、検討対象修辞構造との比較を行った。結果としてほぼすべての、テキスト全体に亘るレベルの修辞構造に関しては5%有意水準での有意差が複数種類の単語やフレーズの組み合わせに関して抽出された。また既に得られた種々の修辞構造は聖書全巻(一部除く)を通じて非常に規則的で統一的な形式となっていることが明らかとなった。形式的な体系性と数値的妥当性より検証対象修辞構造は著者あるいは最終編集者の意図した構造であると結論できる。また修辞構造全体だけでなく、それらを構成する個々の部分に関する統計学的な有意性を分析するアルゴリズムの検討を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

目的としていた修辞構造のリレーショナルデータベースはシステムとしてはほぼ完成しており、蓄積すべきデータの同定とデジタル化も予定通り進んでいる。これらに合わせて文・命題レベルの修辞構造もデータベース化を実現しつつある。

Strategy for Future Research Activity

(1)レトリカルデータベースの多層性への拡張
古典的な修辞学の発達した時代に記されたテキストにおいては,特定のテキスト箇所に対して重層的な修辞構造が見出されることが少なくない.またテキストに対して適用される修辞構造も,単語やフレーズを一つの単位として構成される場合だけでなく,命題やセンテンスの単位で構成される場合,さらにはパラグラフや一つの小物語などの大きな区分を単位として構成される場合も存在する.これらの修辞構造は特定のテキスト箇所を中心として捉えた場合,並行的・重層的に存在しており,テキストの精密な解釈を行う上でこれらの関係性を明示化することは有意義であると考えられる.そこで本基金によって開発されたレトリカルデータベースシステムを拡張し,修辞構造を構成するテキストの単位を柔軟に指定し,かつ特定のテキスト箇所に関連する修辞構造を横断的に検索可能な形にデータベースおよびインターフェースの拡張を行う.また修辞構造のデータもこれに合わせて拡張する.
(2)レトリカルデータベースの物語論への拡張
現在のデータとして扱っている物はいわゆる古典的な修辞構造を中心としているが,物語の構成法も一つの修辞法と捉えるならば,プロップなどによって提唱されてきた構造主義的な物語分析における一つ一つの物語の機能とそれらの関係性も一つの修辞技法と捉えうる.そこで物語におけるテキストの分割位置の検討と,分割された各区分テキストでの物語論的な機能分析の実施に合わせて,分析の結果をレトリカルデータベースへ入力し,より広い意味での修辞的構造のデータベースとして利用可能な形を模索する.その前段階として者がたたり構造をデータベース化するために必要とされる要素とデータ形式を検討し,比較的分析の容易なショートショート作品などをサンプルとしてデータベースへの実装手法を検討する.

  • Research Products

    (7 results)

All 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 総合芸術の批評における批評対象の特徴―映画と演劇の批評の計量的比較―2012

    • Author(s)
      村井源,川島隆徳 (村井源)
    • Journal Title

      情報知識学会誌

      Volume: Vol. 22, No. 3 Pages: 203-222

    • DOI

      10.2964/jsik.22_203

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 共通語の布置と変化に基づく並行形式小説の物語構造2012

    • Author(s)
      工藤彰,村井源,徃住彰文 (工藤彰)
    • Journal Title

      情報知識学会誌

      Volume: Vol. 22, No. 3 Pages: 187-202

    • DOI

      10.2964/jsik.kudo047

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Evaluating Validity of Classic Rhetorical Structure by Comparing with Random Division and Random Combination

    • Author(s)
      Hajime Murai
    • Organizer
      JADH 2012 Conference
    • Place of Presentation
      Tokyo University (Tokyo)
  • [Presentation] Introducing Scientific Methods for the Interpretation of the Bible: Quantitative Analysis of Christian Documents

    • Author(s)
      Hajime Murai
    • Organizer
      13th ACIS International Conference on Software Engineering, Artificial Intelligence, Networking and Parallel/Distributed Computing
    • Place of Presentation
      Campus Plaza Kyoto (Kyoto)
  • [Presentation] 漸近的対応語彙推定法を用いた異言語テキスト間の概念ネットワーク

    • Author(s)
      村井源
    • Organizer
      人文科学とコンピュータシンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道)
  • [Presentation] 東日本大震災後のTwitter利用傾向―震災関連ハッシュタグの計量的分析―

    • Author(s)
      村井源
    • Organizer
      情報知識学会第20回年次大会
    • Place of Presentation
      御茶ノ水大学(東京)
  • [Remarks] 聖書の修辞構造

    • URL

      http://www.valdes.titech.ac.jp/~h_murai/bible/bible.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi