2012 Fiscal Year Annual Research Report
網膜障害条件下でミューラー細胞の細胞周期再開を制御する遺伝子の探索と機能解析
Project/Area Number |
22700403
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
須賀 晶子 独立行政法人理化学研究所, 網膜再生医療研究開発プロジェクト, 研究員 (70450400)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 網膜 / ミュラーグリア細胞 / 前駆細胞 / 再生 / 神経 |
Research Abstract |
ほ乳類成体網膜のミュラーグリア細胞は、正常な網膜では網膜神経細胞の恒常性維持に働いているが、網膜が傷害された場合はミュラーグリア細胞が増殖し、さらに網膜の神経細胞などに分化する事が報告され、網膜神経細胞の再生源として注目されている。われわれは昨年度までの研究で、マウス網膜ではミュラーグリア細胞の増殖程度に系統差があること、増殖しやすいマウスとしにくいマウスではクロマチンリモデリング因子の発現が異なることを示した。さらにミュラーグリア細胞が増殖しやすいマウスではサイクリンD1、ネスチンといった細胞増殖・網膜前駆細胞に関連すると考えられる遺伝子の発現量が増殖しにくいマウスより長期間高く維持されていた。一方で反応性グリアの指標として知られるGFAPの発現量はマウス系統によらず網膜傷害後に同程度発現量が上がっていた。今年度は増殖しにくいマウスの遺伝子発現に注目し、自然免疫系のシグナル伝達にかかわる遺伝子の発現が高くなっていることを見つけた。そこで自然免疫系を作動させるToll様受容体(TLR)のリガンドを用いてミュラーグリア細胞の増殖に影響するかどうかを調べたところ、TLR4のリガンドとしてよく知られているリポ多糖を添加するとミュラーグリア細胞の増殖がコントロールに対して有意に抑制されることを見つけた。先に述べた増殖しにくいマウスで発現が高かった自然免疫系の遺伝子の中にはTLR4の受容体複合体を形成する因子が含まれており、TLR4の活性化がミュラーグリア細胞の増殖に影響していると考えられた。TLR4は免疫染色でミクログリア細胞に発現が認められたため、活性化したミクログリア細胞がミュラーグリア細胞の増殖を抑えている可能性を考え、免疫抑制などによって網膜傷害後にミクログリア細胞の活性化を抑えることでミュラーグリア細胞由来の網膜神経細胞の再生を促進できるかどうかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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