2010 Fiscal Year Annual Research Report
小脳発達期における神経-グリア相互作用 Ca透過型AMPA受容体の役割
Project/Area Number |
22700431
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
細井 延武 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90543570)
|
Keywords | バーグマングリア / GluR2 / 小脳 / レンチウイルス / プルキンエ細胞 / Ca透過型AMPA受容体 |
Research Abstract |
小脳バーグマングリアに存在するAMPA受容体はGluR2サブユニットを持たないため、Ca透過型の性質を持つ。この受容体は、神経細胞から放出されるグルタミン酸によって活性化されるので、このCa透過型AMPA受容体がグリア内でのCaシグナルを誘発して神経-グリア相互作用の担い手の一つとなり、小脳神経回路の形成やシナプス発達などに関与する可能性がある。そこで、本研究では、発達期の小脳において、ウイルスベクターを用いてグリア細胞に選択的にGluR2を発現させ、本来のCa透過型からCa非透過型にAMPA受容体の性質を人為的に変化させることにより、小脳の神経回路発達にどのような影響が生じるかを検討する。そのため、当該年度では、幼若マウスの小脳に直接ウイルスベクターを注入し、小脳バーグマングリア細胞に選択的かつ効率的にGluR2サブユニットを発現させる実験手法の確立を試みた。しかしながら、遺伝子発現のマーカーであるGFPのみの発現であればバーグマングリアに選択的に、しかも高効率で発現させることに成功したものの、GFPと共にGluR2サブユニットを発現させようとすると発現効率が極端に悪くなり、当初予定した実験の安定的遂行が困難であることが判明した。そこで、これまでの実験方法を見直し、新生仔マウス小脳からグリア細胞と神経細胞を一緒に分散培養し、ウイルス液を投与してグリア細胞に選択的・効率的にGluR2を発現させる実験手法を試みることにした。この培養系においても、生体内での特徴を保持したシナプス形成が行われるため、当初の実験目的にそったシナプス形成への影響を検討することが十分可能である。当該年度内においては、小脳分散培養を用いたグリア特異的GluR2サブユニット発現の実験系を未だ確立中ではあるが、以前行っていたマウス個体での遺伝子導入法よりもはるかに導入効率の高い結果が得られている。
|