2010 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳刺激法による運動学習の促進とその神経リハビリテーションへの応用
Project/Area Number |
22700442
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
田中 悟志 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特任助教 (10545867)
|
Keywords | 脳機能操作 / 非侵襲脳機能計測 / 学習 / 記憶 / 脳卒中 / リハビリテーション / 経頭蓋直流電気刺激 / 磁気刺激 |
Research Abstract |
頭蓋の外に置いた電極から電気刺激を行う非侵襲脳刺激法は、安全にヒトの脳活動を制御する方法として、神経障害に伴う脳機能低下の回復などへの応用に期待が高まりつつある。特に経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、刺激の極性によって脳機能の「促進・増強」が可能である点で注目を浴びている。本研究では、運動学習による記憶形成のプロセスをtDCSにより増強させる「学習促進効果」に注目し、より長期的な運動機能の獲得を制御する方法を開発し、神経リハビリテーションへ応用することを目的とする。 本年度は下肢運動機能に障害を持つ慢性期皮質下梗塞患者に対して、下肢筋力トレーニング中における損傷半球側の下肢一次運動野へtDCSを実施し、下肢運動機能への促進効果を検討した。その結果、8名中7名の下肢筋力を一時的に促進することができた。本研究成果は、歩行障害などを含む下肢運動機能に対してtDCSが治療的効果を持つ可能性を示唆する点において臨床的に意義が大きい。本研究成果の一部を2010年度の「日本臨床神経生理学会」において発表した。またリハビリテーション分野では一番インパクト・ファクターが高い国際学術専門誌Neurorehabilitation and Neural Repairに研究成果が受理された。なお本研究は疾患患者を対象としたtDCS研究として、国内では初の国際学術専門誌への報告となっている。今後はより効果的な刺激パラメータや歩行機能等への応用を視野に入れた検討を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)