2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700569
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 俊太郎 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特別協力研究員 (80455378)
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Keywords | 聴覚 / 発話 / 吃音 / 脳・神経 / 流暢性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,発声と聴覚(音声の聴取)の相互作用とその神経基盤に着目し,これまで吃音者の流暢性を増大させるために用いられてきた手法の作用機序および吃音者の流暢性獲得に関わる神経メカニズムを解明することである. 非吃音者の発声と聴覚の相互作用を単純な発声課題で調べる方法として聴覚フィードバックを遅延させた状態で発話長を調節するとう実験課題を提案した.この研究によって発声の韻律のうち母音の長さは聴覚によって調節されていることが分かった.この結果について論文を執筆した.また,発声中に自らの音声を聴取するとそのタイミングが速い場合でも,遅い場合でも発話が聴取音に引き込まれることが分かった.「引き込み現象」における発話運動と聴取音の時間関係は,非吃音者では聴取音が発話運動よりもわずかに先行していた.現在,同様の実験方法を用いて,吃音者における聴覚と発話の時間関係を調査中である(被験者4名).これらの結果から,発話の長さやリズムといった韻律が聴覚フィードバックによって調節されていると考えられる.また斉唱(他の人と同時に同じ文章を発話すること)によって吃音が軽減するのはこの引き込みによる作用である可能性が高い.本年度の研究成果は,科学的な根拠に基づく吃音リハビリテーションの発展や発話制御機構の神経基盤解明に重要な基礎的知見である.
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Research Products
(2 results)