2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700569
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 俊太郎 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特別協力研究員 (80455378)
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Keywords | 聴覚 / 発話 / 吃音 / 脳・神経 / 流暢性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,発声と聴覚(音声の聴取)の相互作用とその神経基盤に着目し,これまで吃音者の流暢性を増大させるために用いられてきた手法の作用機序および吃音者の流暢性獲得に関わる神経メカニズムを解明することである.特に発話が聴覚フィードバックに合わせて実行されてしまう「引き込み現象」について非吃音者および吃音者においてその特性を網羅的に調べた。13名の非吃音者および吃音者5名において自声および他声を聴取したときの発話と聴覚フィードバック信号の音響特性を動的計画方法を用いて分析した。その結果,発話の途中における引き込み現象は非吃音者および吃音者双方に観測され,この現象によって,斉唱や遅延聴覚フィードバックが,吃音者の非流暢性低下させるメカニズムを説明できることが分かった。また発話の開始時においては非吃音者では引き込み現象が起こらず,能動的に発話を開始していたが,吃音者では発話の開始自体を聴覚フィードバックに対する引き込みに依存する傾向が見られた。この結果から,聴覚情報として自分の声が必要な遅延聴覚フィードバックよりも斉唱のほうが吃音者の非流調整低減に高い効果を示す理由が説明できる。本研究の結果は,今後の吃音に対する言語聴覚療法に対して有用な情報を提供し,科学的な根拠に基づく吃音リハビリテーションの発展に貢献するのみでなく,これまで健常者だけでは不明瞭であった発話制御機構の神経基盤解明につながるものである。
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Research Products
(1 results)