Research Abstract |
平成23年度に実施した英国大学剣道クラブ指導者へのインタビュー調査や部員、の質問紙調査,指導や稽古の参与観察より得られたデータは,前年度までの調査結果とともに整理,分析され,考察が進められた。 指導者の剣道観は,前年度創出した「修練観」「使命感」「指導観「ギャップ感」といつたカテゴリーから構成されるという分析結果に変化はなく,平成23年度は継続中であった「使命感」「指導観」「ギャップ感」のカテゴリーの考察を進めた。 「使命感」は,大学クラブの存続と発展のために指導者が果たさなければならないと捉える考えにより構成された。そこでは,入部希望者や新入部員を歓迎し,継続へ導くための様々な工夫を行いながらも,既所属部員の稽古の機会を犠牲にすることなく,保証しなければならないといった使命感が明らかになった。 「指導観」は,部員にどのような取り組みをさせ,何を学ばせたいかに関する考えにより構成された。基本習得を重視する指導のあり方は,剣道を長く続けるために不可欠なものであるという考えを背景にするものであった。また,継続的に稽古に取り組ませることを通して,自分の目指す剣道に向かって真剣に取り組んでいくことに楽しみを感じるようさせたい,剣道の修養的価値に気づかせたい,といった考えも示された。これらについては指導者たちの修練観と深く結びついていうと解釈された。 「ギャップ感」については,入部希望者,初心者,経験者の剣道の重みや剣道のあり方についての認識が,自分たちのそれとは異なると捉える対象者の考えが示された。また,初心者の稽古における学びの姿勢や,初心者が感じる運動感覚,経験者が求める稽古の楽しみ方に関して対象者が感じる意識のずれが明らかになった。特に,運動感覚に関するギャップについては,対象者が感じる指導上の困難点や課題ともなっていた。
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