2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700625
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永野 智久 慶應義塾大学, 総合政策学部, 講師 (10424194)
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Keywords | スポーツ / サッカー / 予測 |
Research Abstract |
オープンスキル(競技中に環境が絶えず変化し予測が困難な状況で発揮される運動スキル)を要する特定のスポーツ状況において、競技者のパフォーマンスを左右する予測能力に重要な視覚的手がかり(Visual Cue)を明確にする目的で、フィールド実験を実施した。 まず、サッカーのペナルティーキック状況において、ゴールキーパーとキッカーの双方を被験者として、同時に視線移動パターンを記述した。その際、キッカーにはあらかじめ次の3つの教示を与え、それぞれの教示についてキックを遂行させた。教示1では普段通りにキックさせた。教示2ではゴールキーパーの事前の動きを見極めたうえで逆方向にキックさせた。教示3ではあらかじめ指定したコースにキックさせた。その結果、ゴールキーパーの視線移動パターンについては、キッカーへの教示による影響はなく、すべてのキックについてキッカーの特定の部位を規則的に観察し、キックの方向を予測するために重要な情報を収集していることが示唆された。一方で、キッカーの視線移動パターンは、パフォーマンスの上位群と下位群で異なっていた。上位群はどの教示においても同様な視線移動パターンであったが、下位群は教示により移動パターンに違いが見られた。特に上位群はキック動作の終盤ではボール付近に視線を固定させキックを遂行していたが、キック動作遂行中もゴールキーパーの動きについては視野の周辺部において注意を向けていたようである。以上の点においては、今後の研究でさらに検証する必要がある。
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