2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会人のシティズンシップ教育支援モデルの構築-家庭教育支援と社会階層の視点から
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22700711
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
本村 めぐみ 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80347658)
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Keywords | 親性 / 市民 / シティズンシップ特性 / シティズンシップ教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一に、称歌山県橋本市教育委員会の「家庭教育支援室」の取組みが、子育ての当事者(親)以外に、いかに地域社会における市艮を巻き込み、彼らのシティズンシップ特性の発揮と社会的自己実環に寄与し得るかを明らかにすることである。第二に、橋本市における嫁庭教育支援」事業が、公民協働のシティズンシップ教育(支援)」に成熟していくプロセスを探求することによって、「社会人のためのシティズンシップ教育」が、いかなる社会階層の人々に、どのような形で提供可能であるかのモデル案を提示することである。 平成22年度から23年度にかけては橋本市「家庭教育支援室」との協働し、行政、学校教員、家庭教育支援員、学校教育課、社会教育課から募ったメンバーを構成員とする「教育環境支援プロジェクト」を発足させた。『地域のなかで誰もが親性を!』をプロジェクト理念とし、地域社会における子どもの育ちの見守り手として、あらゆる地域共同体メンバーが、その親性を発揮し得るための取組みを追求してきた。その一つが、学校における学級懇談会や、親以外の市艮も含む地区懇談会を「ワークショップ型(協働の学び場)」へ変化させる試みであった.本研究のアンケート及び聞き取り調査から、以上のような対話場面の質的転換の成果として、集いの場における自己の発揮が捉されること、異質な社会階層を越えた他者理解、相互理解から共助意識が育まれることが分った。それは個々人のシティズンシップ特性の高まりであり、参画型市民社会への形成に寄与する特性と言えるだろう。さらに、橋本市において「シティズンシップ」特性を捌定するための予備調査を実施し、意識・知識・スキル・行動の側面から特性因子を抽出した。本調査では「親性」と「市民性の育み」の間に有意な関連があることが明かとなった。以上の成果は、学校教育おける親準備性の学びから、生涯を通じて子どもの育ちを社会的頁任として理解し、学んでいくような社会教育への連続性を社会にいかに構築するかへの示唆とも言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度までに本研究がフィールドとしている和歌山県橋本市全域において市民性の特性を把握し、さらに精度の高い市民性尺度を構築するための本調査を終え、分析を手がけている。本調査では、社会経済階層とシティズシップ特性との関連を見いだすことが可能であり、それは最終年度に膏地すべき「様々な階層の人々にとって冒指されるシティズンシップの学び」の体系化を提案する際に比較的大きな貢献を果たすと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、(1)本年度に至るプロジェクトの各取組みを精査し、いかに社会人の「シティズンシップ教育(プログラム)」として機能させ得るか、最終的に体系的整備をすること。(2)橋本市における市民性に関する大規模調査結果をもとに「シティズンシップ尺度」の標準化を目指し、それらを用いて本プロジェクト自体に関わった人々、およびプロジェクトの取組みに関わった人々、および非関与者を対象に、本プロジェクト推進がシティズンシップ教育プログラムとしてどのくらいの効果を生み出したかを具体的に測定をすること、(3)「親性」の育みと「シティズンシップ」特性との厳密な関連性を統計的に精査し、家庭教育や社会教員の連携についての考察を深めること、である。最終的には、社会経済階層や個人的・社会的資源の質・量によって志向されるシティズンシップ特性の違いを重要変数として鑑みながら、本研究として、一般的に寄与できるような「社会人のシティズンシップ教育支援モデル」を提示する。
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Research Products
(1 results)