2011 Fiscal Year Annual Research Report
衣服の身体に対するゆとりの違いが着る人の「暖かさ」や「涼しさ」に及ぼす影響
Project/Area Number |
22700731
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
大和 義昭 呉工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (20450140)
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Keywords | 衣服のゆとり / 衣服のデザイン / 着衣熱抵抗 / 温冷感 / 快適感 |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在の日本の住宅居住者の実態に即した条件で,衣服のデザイン,特に身体に対するゆとりの違いがclo値に及ぼす影響を定量的に検討することである.この目的のため,当該年度には,(1)冬季に住宅居住者が自宅でくつろいでいるときの服装についてのアンケート調査と,(2)アンケート調査で得られた"冬季の住宅内部で最もよく着られている衣服の組合せのclo値測定実験,を行うことを計画した. この計画を実行するため,当該年度では先ず,前年度末に調査票を配布した,冬季アンケート調査について,回収された調査票の集計を行なった.集計した結果,冬季の住宅内部での居住者の衣服の多様性を改めて浮き彫りにするとともに,冬季に住宅居住者が自宅でくつろいでいるときに最も多く着られている服装を男女別に割り出した. 次に,アンケート調査で割り出された"最も多く着られている服装"について,同一メーカー・同一素材であってサイズだけがS,M,Lと異なる3組の衣服のclo値測定実験を行った.測定実験の結果,冬季に住宅居住者が自宅でくつろいでいるときに最も多く着られている服装のclo値は,サイズが大きくなるに従って大きくなる傾向が示された.また,この傾向は,例えば立位や仰臥位よりも投げ足位や椅子座位でより大きくなる傾向が強く,姿勢によって異なることも示された. 本年度の研究で得られたこれらの知見は,思い思いの服を着て色々な姿勢でくつろいでいる我々日本人の住宅の温熱環境を評価する際には,clo値に姿勢や衣服のゆとりを考慮にいれるべきであることを改めて示すものであり.意義深い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」の達成のために,当初予定していたアンケート調査は予定通りに行なうことができた.clo値測定実験については,実験設備を外部機関から借りて行なったによる時間的な制約があったため,当初の予定よりも実験条件数および同じ条件での実験回数を若干減らさざるを得なかった.以上のことから,「(2)おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,「研究の目的」を達成するために当初より予定していた,被験者を使用したclo値測定実験を行なう予定である.被験者を使用するため,被験者の体調などの事情により,実験が計画よりも進まない事態も予想される.そのため,本年度に行なう被験者実験では,本研究の目的が「衣服のゆとり」の違いがclo値に及ぼす影響の検討であることを十分に念頭におき,実験条件を厳選し,予め余裕をもった計画とする.
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