2011 Fiscal Year Annual Research Report
焙煎処理による茶葉ポリフェノール成分の新規褐変反応機構
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22700734
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松尾 洋介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10432981)
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Keywords | 食品 / ポリフェノール / アクリルアミド / ほうじ茶 |
Research Abstract |
前年度は、ほうじ茶の製造工程におけるポリフェノール成分の化学変化を解明することを目的として、茶葉中に最も多く含まれるポリフェノールであるエピガロカテキンガレート(EGCg)とアミノ酸や糖との加熱処理生成物の構造及びその生成機構を明らかにした。アミノ酸や糖類を多く含む食品が加熱処理を受けると、発がん性を有するアクリルアミドが生成することが知られており、アクリルアミドの摂取による健康への悪影響が懸念されている。茶カテキン類にはアクリルアミド生成抑制効果があることが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかとなっていないことから、前年度の成果を基にEGCgによるアクリルアミド生成抑制機構について検討した。アクリルアミドの前駆体であるアスパラギンとグルコース共存下におけるEGCgの加熱処理生成物について分離・精製した結果、EGCgのA環にグルコースが縮合したものの他、アスパラギンとグルコースとの間でアミノカルボニル反応が起きてアスパラギンストレッカーアルデヒドが生成後、EGCgのA環と縮合してラクトンを形成した生成物を単離・構造決定した。アスパラギンストレッカーアルデヒドはアクリルアミドの前駆体と考えられていることから、アスパラギンストレッカーアルデヒドがEGCgと縮合することによってアクリルアミドの生成が抑制されると考えられた。さらに、アクリルアミド共存下におけるEGCgの加熱処理生成物について分離・精製した結果、EGCgのA環にアクリルアミドが縮合した2種の生成物を単離・構造決定した。このような縮合反応が起こることによって、最終的なアクリルアミドの生成量が低減されていると考えられた。
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Research Products
(2 results)