2012 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期のトランス脂肪酸摂取が児の発育・発達に及ぼす影響
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22700774
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
山本 周美 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (60441234)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | トランス脂肪酸 / 母子栄養 / 子宮内発育遅延 / 低出生体重児 / 胎盤 / 発達障害 / 脂質代謝 / 早産 |
Research Abstract |
昨年度までのデータより、正期産児、早産児ともに胎盤組織中のトランス脂肪酸(以下、TFA ; Trans Fatty Acid)の存在比が高くなると児の体格が有意に小さくなることことから、胎盤組織中のTFA存在比率が高い児は発育が抑制される可能性があることが明らかとなった。ヒトにおいて、TFAは体内で合成できないことから、胎盤組織中に存在するTFAは母体が食品により摂取したものと考えられる。 そこで、近い将来母親となる若年女性のTFA摂取状況を調査し、現状を把握する必要があると考え、簡易型自記式食事歴法調査法(BDHQ)を用いた調査を行うことを計画した。BDHQは専用の栄養価計算プログラムによっておよそ30種類の栄養素とおよそ50種類の食品の摂取量を算出できるもので栄養疫学研究に広く利用されているものである。TFAの摂取量はBDHQを用いても直接算出はできないため、次の方法で間接的に数値を得た。BDHQの栄養価計算結果より15種類の食品群別摂取量を抽出し、この摂取量に平成23年に食品安全委員会により発表された食品群ごとのTFA含有量を乗じ、これらの合計値を推定TFA摂取量として算出した。 調査対象は20.2±0.7歳の健常な女性112名である。上記の方法を用いて算出した推定TFA摂取量は0.846±0.326gとなり、摂取エネルギー比に換算すると0.45±0.02%であった。WHOの勧告基準は摂取エネルギー比にして1%未満であることから、今回調査した対象者は平均値でみると基準値の約半分となり、安全な圏内と考えられるが、全体の2%の者はこの基準値を超えて摂取していた。TFAの摂取由来食品は菓子類が最も多かった。このことから、一部の偏った食生活を営む者はTFA摂取に注意する必要があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、日本人妊婦におけるトランス脂肪酸摂取(以下、TFA;Trans Fatty Acid)が児の発育・発達に及ぼす影響を明らかにし、摂取影響のエビデンスを確立することである。これまで児の発育に及ぼす影響について検討し、正期産児、早産児ともに胎盤組織中のTFA存在比率が高い児は発育が抑制される可能性があることを見出した。次に、発達に及ぼす影響について検討する予定であるが、現在カルテより発達指標に関連する情報を収集しているところで解析には至っていない。また、若年女性のTFA摂取量の現状を把握するため調査する必要が生じ、調査研究を追加したため、データとしては増えているが計画としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
産前産後休暇および育児休暇を取得するため、平成24年8月23日~平成25年3月31日まで研究を中断し、平成25年4月1日より再開する予定である。それに伴い研究実施計画を平成25年までと延長し、研究目的を完遂できるよう時期を変更する。
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Research Products
(1 results)