2011 Fiscal Year Annual Research Report
疾病史アーカイブズ論の創成:疾病史史料のアーカイビングと公開のための萌芽的研究
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22700841
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣川 和花 大阪大学, 適塾記念センター, 准教授 (10513096)
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Keywords | アーカイブス / 疾病史 / 医学史 / 記録資料保存 / ハンセン病 / 公文書管理法 |
Research Abstract |
本年度は主に4点の方向性において研究を進めた。 1.資料の全体像の把握と目録データ化作業 大阪皮膚病研究所関係資料に付け加えられるのが相当と考えられる新規に発見された資料群について、その資料館への移管と資料撮影のための作業として、予備調査及び聞き取り調査を行った。前年度から引き続き、目録作成作業を進めた。これにより、従来明らかでなかった戦後のハンセン病外来診療の実態を示す資料群の全体像が明らかになりつつある。 2.史料整理・アーカイビングの理論化のための調査 疾病史史料アーカイビングの方法論の確立において、国内だけではなく、国際的な疾病史アーカイブズにおけるアーカイビング・公開方法について、目録の整備状況やデジタルアーカイブズにおける公開等について調査を進めた。 3.研究者への聞き取り調査 疾病史の研究者や研究協力者に聞き取りを行い、これまでに利用した疾病史史料の種類や性格、そこで経験した制限など、共有すべき事例をケーススタディとして蓄積することに努めた。 4.法律面・技術面での検討 史料の公開に関わる法的な問題について、主に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(2009年公布、施行)と公文書等の管理に関する法律(2009年公布、2011年施行)、国立公文書館の利用規則における個人情報の利用制限などを参照して検討した。また歴史的な医療情報の利用において必要となる閲覧及び複写物作成の提供に際しての制限のかけ方、あるいは逆に制限をかけずに処理できる方法などについて、技術的な面での検討を行った。これにより史料の公開に向けての課題を整理し明確化させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にほぼ則った資料調査・資料の分析・研究を遂行し、学会発表等によりその成果を報告することができたものと考えている。ただし、当初の計画では、海外のアーカイブズにおける調査を2箇所ほど行う予定であったが、1箇所にとどまったため、平成24年度に改めて調査を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は資料目録と公開基準の策定、公開にむけて調査結果のとりまとめを中心に行う。同時に、研究論文の形で研究成果を公開する。
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Research Products
(6 results)