2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫の多剤耐性獲得におけるヒアルロン酸が誘発する上皮間葉転換の意義
Project/Area Number |
22700889
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40509155)
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Keywords | 癌 / ヒアルロン酸 / 接着分子 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
悪性中皮腫は現在施行されている治療に対して抵抗性を示すが、そのメカニズムは不明である。悪性中皮腫の組織学型には上皮型と肉腫型、混合型が存在し、大量のヒアルロン酸を産生する特徴を持つ。細胞外マトリクスの構成成分であるヒアルロン酸は上皮間葉転換の誘導活性が示唆され、上皮間葉転換を介した薬剤抵抗性獲得への関与が示唆される。本研究では悪性中皮腫におけるヒアルロン酸による上皮間葉転換の誘導と薬剤抵抗性獲得への関与について検討を行った。まず、ヒアルロン酸による上皮間葉転換の誘導能について検討を行った。悪性中皮腫細胞株をヒアルロン酸存在下にて培養を行い、免疫染色を試みた。その結果、E-Cadherinの発現が消失し、N-Cadherinの発現上昇が認められた。さらに、beta-Cateninの核への集積が見られた。ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸から成るグリコサミノグリカンであり、分子量によって作用が異なる。そこで、鎖長の異なるヒアルロン酸分子種を用いて検討を行ったところ、低分子~中程度分子量のヒアルロン酸に上皮間葉転換の誘導活性があることが示唆された。さらに、悪性中皮腫の細胞増殖阻害作用に対する感受性をホルマザン法にて検討した。その結果、上皮間葉転換の誘導活性が示唆されたヒアルロン酸分子種の共存下において、EGFR阻害剤であるゲフィチニブの細胞増殖阻害作用に対する感受性が減弱することが示唆された。そこで、現在これらのヒアルロン酸分子種の活性に関与するヒアルロン酸受容体について検討を行っている。
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Research Products
(2 results)