2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫の多剤耐性獲得におけるヒアルロン酸が誘発する上皮間葉転換の意義
Project/Area Number |
22700889
|
Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40509155)
|
Keywords | 癌 / ヒアルロン酸 / 接着分子 / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
昨年度までに低分子~中程度分子量のヒアルロン酸に上皮間葉転換(EMT)の誘導活性が示唆され、さらに悪性中皮腫細胞と低分子~中程度分子量のヒアルロン酸を共存させると悪性中皮腫細胞の増殖阻害剤に対する感受性が減弱することを見出してきた。そこで、今年度はヒアルロン酸受容体としてCD44の関与について検討を加えた。まず抗CD44中和抗体が悪性中皮腫細胞の増殖に影響を与えるのかについて、ヒアルロン酸産生能の異なる悪性中皮腫細胞株数種類を用いて検討した。その結果、抗CD44中和抗体単独ではいずれの細胞株においても細胞増殖阻害活性は認められなかった。しかしこれらの細胞株を用いて抗CD44中和抗体共存下における薬剤感受性を検討したところ、CD44の中和によって増殖阻害剤に対する感受性が亢進し、さらにそれはヒアルロン酸マトリクス形成能が高い細胞において顕著であった。よって、悪性中皮腫の薬剤抵抗性獲得において、CD44が積極的に関与していることが明らかとなった。 近年、EMTが誘導された細胞中から癌幹細胞形質を有する細胞集団を見出せることが報告され、注目されている。そこで足場非依存的なスフェア培養を行ったところ、接着培養した細胞と比較してsnailやtwist,vimentinなどのEMTマーカーの発現が上昇した悪性中皮腫スフェロイド中からCD44陽性悪性中皮腫癌幹細胞様集団を見いだすことができ、さらに悪性中皮腫スフェロイドは薬剤抵抗性を示す傾向にあった。そこでこれらとヒアルロン酸との関係を検討する目的で、ヒアルロン酸合成阻害剤存在下においてスフェア培養したところ、悪性中皮腫スフェロイド中のCD44陽性癌幹細胞様集団の消失が認められた。これらからヒアルロン酸による癌幹細胞形質の制御が示唆される。現在悪性中皮腫スフェロイドにおけるヒアルロン酸とEMT、薬剤抵抗性との関係を追求している。
|
Research Products
(4 results)