2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ構造による励起子プラズモンポラリトンの実現とその発光特性
Project/Area Number |
22710086
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小田 勝 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30345334)
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Keywords | 半導体ナノ構造 / 表面プラズモン / 量子ドット |
Research Abstract |
プラズモニクス分野の発展に伴い、半導体中の励起子とプラズモンとの強い相互作用により生まれる新規光物性の研究が盛んであるが、両者が真に強く結合し、コヒーレントに混成した"励起子プラズモンポラリトン状態(EPP状態)"の実現例は殆ど無く、その物性は不明な点が多い。本研究では、微細金属薄膜と、特定の波長に極めて強い振動子強度を持つ半導体量子構造((1)II-VI族半導体量子点(ナノ微結晶)、もしくは、(2)有機量子細線(J会合体))を組み合わせた、励起子プラズモンポラリトンの実現に向けて特化した新規ナノ構造を作製する。この構造において励起子プラズモンポラリトンの形成の実現を目指すと共に、そこで創出される新たな光物性の解明と制御を狙いとしている。 昨年度には、EPP状態の実現に向けて、表面プラズモンの生成条件を満たす金属薄膜上に、II-VI族半導体ナノ結晶を高密度に含むポリマー薄膜、並びに、有機J会合体を配置した量子構造の作製法の開発に着手し、作製方法の基盤部分を開拓した。本年度はこの作製方法を発展し、設計した試料の作製に至った。さらに、昨年度EPP状態の検出のため専用に整備した、精密な角度走査が可能な反射・発光スペクトルと発光寿命の計測システムを用いて光学計測を実施した。 (1)のナノ微結晶を用いた量子構造では、単独のナノ微結晶では見られない高指向性で短寿命の発光を観測した。励起子とプラズモンの相互作用としては、弱い作用に留まるが、極めて効率良く、励起子から表面プラズモン、さらにそこから光子へとエネルギー変換が生じる特有な発光特性を持つ新規量子構造となった。(2)のJ会合体を用いた量子構造に関する、発光スペクトルの角度依存性の測定からは、目標としたEPP状態の実現を示唆する結果を得た。EPP状態を反映した発光特性についてのより詳細な研究を継続中である。
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