2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノメディスンとしてのフッ素導入人工調製肺サーファクタントの開発と応用展開
Project/Area Number |
22710106
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中原 広道 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (00513235)
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Keywords | 肺サーファクタント / 表面張力 / 表面電位 / 蛍光顕微鏡 / ブリュースター角顕微鏡 / 呼吸窮迫症候群 / 未熟児 / DPPC |
Research Abstract |
人工調製型肺サーファクタント脂質の基本成分はDPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、PG(ホスファチジルグリセロール)、PA(パルミチン酸)等があります。我々はこれまでに種々のフッ素化両親媒性物質の生体膜への影響を研究してきました。フッ素化両親媒性物質は体内或いは環境への蓄積性が問題視されていますが、分子全体に占めるフッ素化の割合が小さいと生体内でも短期間で代謝されると考えられています。またフッ素化合物は、その短所を超越した特異的な性質を保持しています。低い表面張力、屈折率(分極率)、比誘電率を示す一方で、密度、圧縮率、粘度、臨界温度に関しては、高い値を示します。これらの特異性は、強い分子内結合と弱い分子間相互作用に反映されています。炭化フッ素鎖は、炭化水素鎖に比べて疎水性が非常に強く、さらに疎油性でもあります。今年度はまず基礎的な知見を得るため、LS調製物(DPPC/peptide)に部分フッ素化アルコール(F8H5OH、F8H11OH)を添加し、人工調製型肺サーファクタント膜の形態像や相挙動の変化や種々の表面物性に対する影響を精査しました。短鎖F8H5OHの添加では、人工調製型肺サーファクタント膜の流動性が向上し、一方で長鎖F8H11OHでは人工調製型肺サーファクタント膜の安定性・剛直性が増強されました。これは人工調製型肺サーファクタントメカニズムに関しても新たな知見を与え、今後の研究に大きく貢献できると考えられます。
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