2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノメディスンとしてのフッ素導入人工調製肺サーファクタントの開発と応用展開
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22710106
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中原 広道 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (00513235)
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Keywords | 肺サーファクタント / 表面張力 / 表面電位 / 蛍光顕微鏡 / ブリュースター角顕微鏡 / 呼吸窮迫症候群 / 未熟児 / DPPC |
Research Abstract |
人工調製型肺サーファクタント(LS)脂質の基本成分はDPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、PG(ホスファチジルグリセロール)、PA(パルミチン酸)等があります。PAは動物由来型、人工合成型双方のLS調製物の有効な添加剤として頻用されています。現在までにPAは、LS主成分DPPCの機能を助け、LS単分子膜の分子配向・パッキングを高めると考えられてきました。しかしながら、生体条件ではPAのカルボキシル基はほぼイオン型であり、LSタンパク質(カチオン)との間に静電的な相互作用が存在しているはずであると考えられます。本年度は、鎖長や親水基の異なるPAの同族(類似)化合物を使用することによって、PAの機能・役割を精査しました。各種表面物性を測定したところPA系とテトラデカノール(TD)系のみLS特有のsqueeze-out現象が確認できました。また蛍光顕微鏡(FM)画像においては、ミリスチン酸(MA)系、PA系、及びTD系で著しいドメイン形態・サイズの変化が観察されました。さらにPA系においてpH変化の影響を精査したところ、生体pH(7.4)のみでsqueeze-outを引き起こすことが分かりました。これらの結果から、親水基の解離度と疎水鎖長の分子内バランスがLS機能に深く関わっていることが明確となりました。つまり、疎水鎖(C16)と部分解離した親水基COOH基に由来するPAのHLB(hydrophile-lipophile balance)が肺サーファクタントタンパク質の界面機能に適合していることが言えます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により私達が考案した人工肺サーファクタントの詳細な薬効・メカニズムが明確となりました。実際の市場化に向けては多くの問題がありますが、本研究の目的は達成されたと判断できます。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)既存薬Surfactenの薬効を凌駕するような有効な添加物(部分フッ素化両親媒性物質)を探索します。 (2)模倣ペプチドの二次構造と肺サーファクタント物性の関連性を明らかにします。
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