2010 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs(111)面上高対称性量子ドットの自己形成に関する研究
Project/Area Number |
22710107
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主任研究員 (60391215)
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Keywords | 量子ドット / GaAs / 自己形成 / 液滴 |
Research Abstract |
本年度は、初めにGaAs(111)A面上に於けるガリウム液滴形成過程の解明、及び、その最適化を行った。反射型高速電子線回折によるその場観察、及び、原子間力顕微鏡による表面観察の結果、同表面上では従来の(100)表面と異なり、液滴がガリウム照射と同時に形成される事が分かった。これにより、量子ドット形成の際に、量子ドット下部の濡れ層形成を抑制でき、さらに、液滴のサイズ・密度の緻密な制御を実現できる事が明らかになった。また、単一量子ドット分光を実現するために、低密度・低サイズの量子ドット形成条件の最適化を行い、基板温度400℃程度で、僅か0.05原子層程度のガリウム照射により、低密度・小サイズのガリウム液滴を再現性よく形成できる事が分かった。続いて上記で作製した液滴の砒素照射による量子ドットへの結晶化の実験を行った。(111)A表面では、ガリウムの表面拡散長が非常に短いため、低強度の砒素照射でも、量子ドット形状が実現できる事が分かった。一方で、液滴サイズが大きい場合、髭状結晶が形成され、それにより、キャップ層の品質が大きく低下してしまう事も明らかとなった。この問題を解決するため、キャップ層成長前に、500℃程度の砒素中アニール過程を導入する手法を開発した。アニールにより、髭状の部分が崩れて、台形状の量子ドットに形状が変化する事が分かった。一方で、量子ドットの面内サイズには大きなサイズ変化は生じず、自己抑制的な機構が働いている事が示唆された。以上のように、(111)A面上でサイズ・密度・形状を高度に制御した量子ドットの作製を達成した。 また、液滴エピタキシー法を用いた他の研究も推進し、いくつかの副次的成果が得られた。
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