2010 Fiscal Year Annual Research Report
単一単層カーボンナノチューブのユニット成長制御と機能サイト導入
Project/Area Number |
22710127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
保田 諭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (90400639)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気化学 / 触媒ナノ微粒子 / 酢酸 / ラマン分光 / グラフェン |
Research Abstract |
グラフェン構造の基本ユニットとなる芳香族分子を炭素源として用い、気相/液相プロセスで低次元炭素材料の合成を試みる。また、その生成機構や欠陥構造の特徴を明らかにすることを目的とする。上記目的を達成するために、平成22年度は、室温での合成が可能な、電気化学プロセスに注目をし、低次元炭素材料を液相合成することを行った。まずは、低次元炭素材料の一つであるカーボンナノチューブの合成をめざし、触媒金属ナノ微粒子を電極表面に電析するプロセスについて検証を行った。電析をする金属材料として、NiやFe,Coといった様々な金属を用いた。印加電圧-1V、印加時間10-100msの電析プロセスを行った結果、すべての金属について、電極表面上にナノ微粒子が形成するのを明らかにした。 次に、炭素源に簡単な分子構造を持つ酢酸を用い、触媒金属ナノ微粒子が担持した金電極上にカソード電析を行いことで、低次元炭素材料の合成を行った。その結果、すべての系において酢酸の電気分解由来の大きなカソード電流が観察された。ラマン分光法による評価の結果、触媒金属にNiを用いた結果のみ、単層カーボンナノチューブの直径方位振動由来のRBM、グラフェン構造由来のG-バンドの振動モードが明白に観察された。一方、FeおよびCoの場合では、G-bandのみ観察されたことから、sp2軌道からなるグラフェン状の炭素材料が形成される結果が得られた。以上の結果から、電気化学プロセスにより、触媒金属種により、低次元炭素材料の形態を制御可能である知見が得られた。
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