2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一単層カーボンナノチューブのユニット成長制御と機能サイト導入
Project/Area Number |
22710127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
保田 諭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (90400639)
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Keywords | 化学気相蒸着法 / グラフェン / ラマン分光 |
Research Abstract |
機能活性サイトとなる様々な欠陥構造ならびに電子物性を支配するカイラリティーを完全制御した、カーボンナノチューブを合成する技術を確立する。上記目的を達成するために、原料にグラファイト骨格に近い環状分子を用い、触媒のみを加熱し重合反応させる合成を試みた。これにより原料分子骨格を維持したまま反応させることが可能となり、カーボンナノチューブ構造のみを選択的に合成可能となることが期待される。今年度は、触媒基板のみ加熱が可能なコールド化学気相蒸着合成炉(CVD)を構築した。つぎに、モデル分子としてベンゼンを用い、触媒表面上でグラフェン構造が重合形成するかどうか検証実験を行った。加熱したNi触媒上で、ベンゼン分子を導入した結果、グラファイトの面内振動に由来するG-band、欠陥構造由来であるD-band、そしてグラフェン特有のD-bandの倍音振動である2D-bandの3つの代表的なラマンバンドが観測され、グラフェン構造が生成しているのを確認した。また、走査型原子間力顕微鏡から、触媒表面一様に、グラフェンが均一に生成していることも確認され、触媒加熱のみでグラフェン構造が均一かつ容易に生成可能であることを示した。一方、触媒基板にCuを用いた場合では、弱いD-bandおよびG-bandが観測されたが、明瞭な2D-bandは観測されなかった。この結果から、Cu触媒基板上では均一なグラフェンが生成しないことが示された。この結果は、触媒種によりベンゼン分子の反応性が明白に異なることを示唆し、本研究の触媒加熱をベースとしたコールドCVDにおいて、触媒選択が重要なパラメーターであることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)