Research Abstract |
施設サービスの提供方法を時空間領域で決定する,最大カバー型の最適配置問題を提案し,首都圏鉄道網上の配置分析を行った(この成果は日本オペレーションズ・リサーチ誌の英文論文に掲載された).サービス利用可能者は,就業後に施設に立ち寄り一定時間サービスを受け,ある時刻までに帰宅可能な就業者と定義し,これを最大化する各施設の位置とサービス開始時刻を決定する状況を扱った.開始時刻が,各施設で独立に設定可能な場合(独立開始モデル)と,全施設で共通の場合(同時開始モデル)を扱った.これらを整数計画問題として定式化し,発見的解法を提案した.大都市交通センサスデータをもとに作成した流動データを用い,首都圏鉄道網上に,一施設を各駅・各開始時刻に配置する場合のサービス利用可能者数を分析し,地理的傾向を分析した.また,複数施設を同時配置する場合について,提案解法による分析を行った.独立開始モデルでは,都心部にサービス時間帯を異にする複数の施設が配置され,同時開始モデルでは,都心部と郊外の大規模駅に分散配置される結果が得られた.さらに,提案モデルの拡張の方向性を検討した. ま左,動的モデルへの展開を前提にした新しい静的モデルとして,階層構造を有するフロー捕捉型の施設配置モデルを構成した(この成果はGeographical Analysis誌に掲載された).フロー捕捉型配置問題は,交通網上でのフローに着目し,経路上に施設が存在するフローの総量を最大化する問題であるが同一施設を配置する状況のみが扱われていた.そこで,建設コストが大きく需要獲得力が高い施設と,建設コストが小さく需要獲得力も小さい施設を同時に配置可能な際に,資金制約下で施設規模と配置場所を同時に決定する問題を提案した.提案モデルに対するラグランジュ緩和法を設計し,実道路網データに適用した結果,高精度の解を高速に求めることに成功した.
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