2011 Fiscal Year Annual Research Report
水先人きょう導時における海難の実態解明に関する研究
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22710165
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
小林 豪 広島商船高等専門学校, 商船学科, 准教授 (90311076)
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Keywords | 海上安全 / 交通事故 |
Research Abstract |
本研究は、水先案内人(通称PILOT)が操船を指揮している際に発生した海難事例に着目した研究である。これは、その海域を熟知し、船舶を安全に航行させるために乗船している水先人がきょう導しているにもかかわらず海難に至った要因の中に、海難の本質があるのではないかと考えたためである。また、平成19年度に新たな水先人養成制度がスタートし、水先業務は現在変革期にあるといえる。 平成22、23年度は、過去に発生した水先人海難について、海難審判庁裁決録より抽出し、裁決録に記載されている海難要目のデータベース化を行った。また、学会の研究会に参加し、水先人教育の現状について調査を行った。また、平成23年度は水先人の単独事故となる乗揚げ海難についてもデータベース化を行った。 データベース化した海難要目は、発生日時、発生場所、船種、トン数、気象・海象状況、海難原因、適用法規、相手船の視認距離、損害状況等、である。 これらのデータベースを解析した結果、その海域を熟知している水先人といえども、ほとんどの海難要因は人的要因が問題となっていることが分かり、水先人海難の特徴が明らかとなってきた。平成24年度は特徴的な事例についてさらに細かく検討し、具体的に何が問題となり海難に至ったのかを明らかとする。 さらに、昨年度実施予定であった、アンケートやヒアリング調査を水先人に対して実施し、データ解析の結果と合わせて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度、水先人に対して、現場水先人によるシミュレータ操船実施をしていただき、データ収集を計画していたが、大学シミュレータは、水先人教育以外に使用制限があること、及び水先人の実験要請がおりあわなかったため実施できず、研究費も未使用に至った。また、10月下旬より、日本各地への現場実務者へのヒアリング調査を計画していたが、一身上の都合により出張が困難な状況となり、研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまで作成してきたデータベースの更なる充実と、個々の細かな事例研究を進めていき、データベースの解析結果を踏まえたアンケート及びヒアリング調査を実施し、水先人海難防止のための対策をとりまとめる。
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