2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22710192
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 仁 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 助教 (00447690)
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Keywords | RNA / スプライシング / 疾患関連遺伝子 / エキソンスキップ治療 |
Research Abstract |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー症では、エキソンスキップ療法の有効性が検証されつつある。この治療法はスプライシング機構の知見に基づくものであり、DMD遺伝子など疾患原因遺伝子のスプライシング機構を個別に検証することは非常に重要である。我々は、特殊なRT-PCRによるイントロン産物の検出を行い、RNase Rによるイントロン性RNAの調製方法を確立した。これまでに、生体由来のtotal RNAに含まれるイントロンRNAの検出を試み、様々な未知のイントロン由来産物を検出している。本研究は、従来のブランチ型とは全く異なるイントロンRNA由来産物について検討を行った。 この産物は、配列上イントロンの末端同士が連結した新規の構造を有する。このタイプは、DMD遺伝子の複数のイントロンで検出された。この産物は、骨格筋を含めた様々な組織由来のtotal RNAで見られた。また、ハウスキーピング遺伝子でも、イントロン末端同士が連結した産物が検出された。これらは、新規イントロ、ン由来産物を生成する新たなスプライシング機構の普遍性を示唆する。ただ、in vitroスプライシングと特殊なRT-PCRで増幅されたのは、末端の連結したイントロンではなく、典型的なブランチ型であった。in vivoとin vitroの違いは検討が必要となる。 一方、イントロン性RNAのタイリングアレイ解析では、イントロンRNAを示唆するシグナルに加えて、第1エキソン周辺の特異的なシグナルが観察された。精査すると第3、21、22、及びX染色体で少なくとも80遺伝子が該当した。基本的にエキソン部分は、RNase Rにより減少する傾向にあるため、mRNAとは異なるRNase R耐性RNAの可能性が考えられる。これらのRNAは、スプライシングを含めた転写後制御の動的側面を示すものであり、非常に重要と思われる。
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