2011 Fiscal Year Annual Research Report
多次元核磁気共鳴法によるメタローム解析を基盤とするイネの代謝解析研究
Project/Area Number |
22710230
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
関山 恭代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 任期付研究員 (60342804)
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Keywords | メタボローム / 核磁気共鳴法 / 安定同位体標識 / イネ |
Research Abstract |
メタボローム解析において、代謝物ピークに対し化学的情報を付加することは「アノテーション」と呼ばれ、一般的には各種スペクトルデータやクロマトグラフィーを標準化合物と比較する事によって行なわれる。現状のメタボローム解析における問題点はスペクトル上の未同定ピークの多さであり、本課題では、我が国の基幹作物であるイネについて、より多くの代謝物ピークのアノテーションを行うことを目的としている。多次元NMR法により代謝物のアノテーションを行なうためには、イネを^<13>Cで高度に標識し、検出感度を上げ必要がある。そこで本年度は、平成23度に確立した栽培条件を用いてイネ(日本晴)の^<13>C標識を行った。標識二酸化炭素(^<13>C:^<12>C=80:20)を発芽から30日以上の長期間にわたって投与し、^1H-NMRスペクトルによりスクロースの^<13>C標識率を調べたところ、75%という高標識率を達成できたことが分かった。葉の水抽出物の^1H-^<13>C HSQCスペクトルにおいて、非標識試料では約30シグナルしか検出できないのに対し、標識試料では10倍以上の約450シグナルを検出することに成功した。標準化学シフトデータベースとの照合により、水溶性代謝物として糖類、アミノ酸、有機酸など135の候補代謝物をリストアップすることに成功した。また、標識体のメタノール抽出物についても同様に^1H-^<13>C HSQCスペクトルで解析し、約577シグナルを検出し、糖類やアミノ酸に加えてリン脂質、フェノール系代謝物など、合わせて164の候補代謝物をリストアップすることに成功した。現在は、リストアップした候補代謝物について、3次元HCCH-COSYスペクトルによる解析を行っている。
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