2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライシテ(非宗教性)の再定式化のために――フランス、ケベック、日本を事例として
Project/Area Number |
22720029
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊達 聖伸 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90550004)
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Keywords | 宗教学 / ライシテ(非宗教性) / 政教分離 / 世俗主義 / フランス:ケベック:日本 |
Research Abstract |
本研究は、近代の政教関係を再検討し、ライシテ(非宗教性、政教分離、世俗主義と訳される。)を、これからの社会の共生の原理として再構成するための基礎をなすもので、「フランスのライシテの批判的見直し」と、「ライシテの脱フランス化」を、2つの大きな柱としている。 1点目について、本年度は、19世紀に活躍した思想家・政治家エドガー・キネが、どのように政治と宗教の関係を考えていたかの論考を執筆し、同世代の若手研究者たちと一冊の本にまとめた(共編著『社会統合と宗教的なもの』)。 また、現代のライシテ研究の動向について、宗教法学会で発表した(次年度に論文化する予定)。 なお、昨年度に出版した『ライシテ、道徳、宗教学』が、今年度の渋沢・クローデル賞(ルイヴィトンジャパン特別賞)、日本宗教学会賞、日仏社会学会奨励賞、サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を連続受賞した。 2点目にかんしては、本年度は、ケベックのライシテの枠組みにおける宗教教育について、2本の論文を執筆した(「宗教を伝達する学校」『宗教研究』、「現代ケベックの倫理・宗教文化教育」『ケベック研究』)。 また、日本の政教関係をライシテの観点から見直す作業については、論文《Les rapports entrela la licisation et les avancees des droits de l'homme au Japon》をフランス語の雑誌に発表した。また、和辻哲郎の思想と宗教観を、宗教文化教育の観点から読み解くための2本の発表《Penser la laicite a la japonaise a travers l'approche culturelle des religions chez Watsuji Tetsuro》,《Watsuji Tetsuro et son approche culturelle des religions》を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災や異動があり、今年度の初めはなかなか思うように研究が進められなかったところがあったが、そうした状況にかんがみると、大きな問題もなく研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
「フランスのライシテの批判的見直し」と「ライシテの脱フランス化」の2つの柱を意識しながら、そのときどきでやれることを精いっぱいやってきたが、来年度は当研究期間の最終年度に当たるため、最終的な成果をどのような形でまとめるかをきちんと見据えていきたい。
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Research Products
(9 results)