2010 Fiscal Year Annual Research Report
ソ連崩壊後におけるロシアの教育と宗教~宗教文化教育が果たす機能
Project/Area Number |
22720030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
井上 まどか 清泉女子大学, 文学部, 講師 (70468619)
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Keywords | 宗教文化 / 宗教教育 / 宗教復興 / 政教関係 / ロシア連 |
Research Abstract |
ソ連崩壊後におけるロシアの政教関係を教育と宗教という視点から明らかにするという本研究のテーマのもとで、今年度は、ロシア連邦において試行プログラムとして初等・基本教育に導入された「宗教文化の基礎と世俗倫理」科目について、その導入をめぐる近年の議論を検討するとともに、教育分野において伝統的な諸宗教が果たすべき役割について90年代より行われてきた議論の検討を行った。その際、「宗教文化の基礎と世俗倫理」の宗教文化科目(ロシア正教文化・イスラム文化・仏教文化・ユダヤ教文化)から除外された伝統宗教(シャーマニズムなど)にも注目することで、多角的な分析を目指した。また、97年宗教法の成立過程の議論にみられる外来宗教団体の活動(オウム真理教など)について再検討を行うことを通じて、宗教文化教育が担わされている役割を明らかにしようとした。97年宗教法は、宗教団体と教育機関の協働関係(パートナーシップ)の法的根拠のひとつとなっているためである。ここで明らかになったことは、90年代前半における外来宗教団体の隆盛というファクターの大きさ、自国史における宗教の役割についての再認識、ソ連時代の宗教に関わるカテゴリーの温存という点である。今年度の研究成果は、次年度以降の実地調査の基礎資料になるとともに、ソ連崩壊後の「宗教復興」の内実を明らかにする研究の一端となる。この研究のさらなる進展は、現代における政教関係の各国比較に資すると期待される。
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Research Products
(6 results)