2010 Fiscal Year Annual Research Report
「反・明治維新」感情の系譜学:同時代から今日に至る思想とメディア
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22720035
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| Research Institution | Aichi Prefectural University |
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Principal Investigator |
與那覇 潤 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (50468237)
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| Keywords | 日本史 / 思想史 / メディア史 / メタヒストリー / 中国化 / 映画 / 小津安二郎 / 戦争 |
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| Research Abstract |
研究年度初年度である本年度は、第一弾の研究成果として単著『帝国の残影-兵士・小津安二郎の昭和史』(NTT出版、2011年1月)を刊行することができた。同書では映画監督小津安二郎の映像作品を歴史資料として読み解きつつ、小津自身が従軍した日中戦争を「中国化論」の観点から、<中国的な帝国の幻想をつかの間夢見た近代日本が、しかしその適性のなさゆえに果たせず、自滅した戦争>として捉えなおし、そして小津作品のなかにもそのような「近代化=中国化」の原点である明治維新に対する呪い=「反・明治維新」感情が看取される、という解釈を提示した。幸いなことに、国内各紙誌にも歴史研究/映画研究双方の視点からの論評が掲載されるなど、本研究のコンセプトを広く江湖に紹介する大きな意義が得られた。
一方で、より包括的に本研究が立脚する「中国化」という歴史観を提示する著作に関しても、刊行にこそ漕ぎ着けられなかったが草稿400枚をほぼ完成させている。またやはり「中国化」の視角と関連する学会パネルにおいて、Association for Asian Studies(ハワイ、2011年3月31日)での発表を行い、成果を海外にも向けて発信する最初の足がかりを築くことができた。
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